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シクロツーリスト&ランドヌールときどき模型の製作日記

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ダホンK3でビワイチ&小豆島キャンプ

こんにちは、田村です。
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昨年に購入した14インチ小径車、ダホンK3。
軽くて小さくなる折りたたみ自転車であり、
気軽なサイクリングに最適なモデルです。
輪行が気負いなくできるのも魅力。

当然ながら、ロングライドとか重装備のキャンプとかには
本質的に向いてません。
モノには向き不向きがあるのが道理です。

しかし、僕のサイクリング仲間であり
京都在住の先輩が、
「14インチでビワイチすれば変態の仲間入りや」
などと言い出しました。

「ビワイチ」とは言うまでもなく琵琶湖一周のことで、
その距離は185km前後とするのが一般的です。
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数年前にロードバイクでビワイチしましたが、
14インチで走れるものなのだろうか……。

先輩氏の14インチ車は、K3そっくりで
ダホンOEMのキャプテンスタッグ・リライトというモデル。
シングルスピードなのですが、
怪しい中華パーツで3速化したり、ギヤ比を変えたり、
あれこれいぢりだして、しまいには
「ビワ練」などと呼称して、
毎週のように琵琶湖を100kmくらい
走ってる様子……どうやら本気だと気付いたので、
僕も対策を考えることにしました。
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己のK3と脚力を見極めるべく、
せっせと岩槻まで走ること数度。
岩槻は自分が住む池袋から距離40〜50kmにある城下町で、
行程の大半をサイクリングロードで組むことができます。
荒川〜芝川〜見沼の各河川を結べば、
クルマを気にせずに走ることができ、地形も平坦。
京都の先輩と違って琵琶湖で練習などできませんから、
岩槻を目標として、平坦メインのロングライドに
慣れておこうと思った次第です。
あと、最近始まった推しのアニメで
岩槻が描かれているのも動機だったりします(笑)。
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日光御成道の宿場としても栄えた岩槻。
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時の鐘があったりして、地味な川越、といった風情。
太田資正という戦国武将が活躍した
地としても(一部で)有名です。

本来、「歩くより速ければOK」くらいのつもりで
局地サイクリング用に導入したK3ですが、
ある程度でもまとまった距離を走ってみると、
いろいろと気になってきます。

まず、53×9Tのトップギアが
自分の限られた脚力には重くて踏みづらいのです。
重けりゃ使わなきゃいいや〜と思ってましたが、
ビワイチとなると
貴重なトップが
使えないようでは話になりません。

フラットハンドルなので、乗車姿勢が
限られるのもウイークポイント。
しかし、これをドロップなどに変えたら
あまりに大人気ないので、
サドルの位置を念入りに調整し、
少しでも疲れにくいポジションを模索。

しかし、自分で考えてるだけでは
氏の魔改造に及ぶべくもないので、
プロの力をお借りすることにしました。
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とある週末、池袋〜岩槻〜佐野〜小山と115kmほどを自走して、
K3の購入店であるオレンヂジュースさんを訪ねました。
小径車にめっぽう強いショップさんです。
同店の店長に「なりゆきでビワイチすることになって……」と
半ば泣きつき、チューンナップをお願いしました。
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チェーンリングを53Tから48Tに交換してもらいました。
これで、リアのトップ9Tがだいぶ踏みやすくなりました。
昨今の部品不足の中、用立てていただき
感謝の念にたえません。
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K3およびリライト用3速カセットは、
トップ9Tがロックリングを兼ねてて交換不可なので、
チェーンリングを小さくするしかないんです。
そのままでは2段目が軽くなりすぎるので
13Tから12Tへ変更。これでトップとの差が広がらず、
平坦路で有用なクロスレシオ(とはほどとおいですが)に
近づかせました。
ローギアは軽くなるほど助かるシーンが多いので、
オリジナルの17Tのままとしました。
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店長の提案によって、
タイヤを標準のケンダからトレンクル用の
パナレーサーに交換。これは自分では思いもよらず、
さすがはプロだとうなりました。
(在庫してるのもすごい)
ZSGコンパウンドによる現代的なグリップ感と
しなやかさが魅力で、だいぶ乗り味が向上しました。

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TOGS(トグス)というアシストバーを追加。
これも店長のご提案で、京都の先輩も同様の
バーを導入されてました。
グリップとブレーキレバーの間に取り付け、
親指をひっかけます。
グリップの中央寄りを握った時の安定感が高まるので、
脇を締めた姿勢がとりやすくなります。
乗車ポジションが限られるという
フラットハンドルの弱点をカバーする
ニッチなアイテムです。

こうして、近年まれにみるほど
入念にチューンナップしました。
人事を尽くして天命を待つ、といった
気分です。

こうして来るべきビワイチに備えたのですが、
言うまでもなく東京から滋賀県はかなり遠く、
けっこうな交通費を要します。
ビワイチだけで遠征するのももったいなく思えたので、
プラスαの計画を盛ることにしました。
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滋賀県まで足を伸ばせば、
小豆島がそれなりに近いです。
なぜ突然に小豆島? と思われそうですが、
これもアニメの影響で、「からかい上手の高木さん」という
作品の舞台が小豆島なのです。
「二十四の瞳」の舞台としても有名ですが、
僕は訪れたことがなく、いつか機会あれば……と
思っていたのです。
JR琵琶湖線には姫路行きの快速列車が
頻繁に走ってるので、それに乗って姫路から
小豆島行きのフェリーに乗ろう、と思いました。

成功するかどうかおぼつかないビワイチだけでは
不安で胸がつぶれそうですが、小豆島は
逃げも隠れもしません。訪れれば必ず楽しめそうです。

ビワイチのためにビジネスホテルを取りましたが、
小豆島ではキャンプで夜を過ごすべく、
準備を進めました。
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キャンプ道具を選抜し、
35リットルのドライバッグにおさめて
K3に付けたヴァリオラック(の、ターンOEM版)に
どかっと搭載。
もちろん、ビワイチの時には
キャリアごと外します。
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バックパックには釣り道具を満載。
もはや何をしたい旅なのか支離滅裂になってきましたが、
遊びのネタは多いほうがいいじゃないですか。

そして3月11日の夕刻に
大津のホテルα-1にチェックイン。
控えめにビールを飲んで
とっとと寝に着きました。
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迎えた運命の12日。
朝6時前に大津駅で待つことしばし……。
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京都の先輩がご到着。
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ここに2台の14インチ車が揃いました。
いい歳したオッサンがなにやってんだか……。
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いよいよビワイチのはじまりです。
幸いにも風は弱く、気温も高めで
走行環境としては申し分ない天候に恵まれました。
あとはせっせと走るのみ。
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守山に登場した新しいモニュメント。
でっかいBIWAKOに小さな自転車が
ミスマッチで笑えます。
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琵琶湖は、湖北を除けば基本的に街が多く
人家が途切れたりしません。コンビニがいい間隔で
現れるのも助かります。サイクリストも多いです。
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田舎っぽくなる湖北では、
道の駅で近江牛バーガーをいただきました。
なかなか美味。
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賎ヶ岳にはまだ雪が残ってました。
風情のあるトンネルが次々と現れ、
ツーリング的には湖北がハイライトです。
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山には雪が残りながら、
春らしい霞に包まれた奥琵琶湖。
一昨年は、このあたりでハンモックを破いたり
お財布を落としたりと散々だったことを思い出しました。
その時、仕事中にもかかわらず駆けつけてくれたのも
京都の先輩でした。
こうして二人でビワイチするのは
運命だったのかもしれません(笑)。
なにはともあれ、マイペースで
進んでいきます。

事前の悲観的観測では
15時間ちかくかかるのではと危惧してましたが、
湖北までグロス平均速度18kmを維持しており、
上々のペースです。
やはり、二人で走ると張り合いがあります。
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TOGSポジションはかなり快適。
下りと変速時以外は
大半がTOGSポジションとなりました。
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基本的に走りやすい道が続くビワイチですが、
湖西まで至ると飽きてきます。
「飽きますね〜」と訴えると、
「とっくに飽きてるに決まってるやん」と先輩。
地元ですから、なおさらでしょう……。
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コーラ飲みつつSNSでつぶやく先輩。
大津が近づくほど、ロングライドらしい
哀愁が漂いだしました。
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所要11時間、なんと17時過ぎには大津に戻ってきました。

暗くなることを覚悟していただけに、
望外の好ペースでの完走に心底ほっとしました。
ありがとう琵琶湖、ありがとうK3、
ありがとうございます先輩。
「もうしばらくミニはええわ」とつぶやいた先輩でしたが、
二人めでたく変〓の仲間入りですよ(笑)。
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翌13日、朝5時過ぎには大津駅に再び参上。
今度はひとりで輪行モード。
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9時前には姫路港に到着。
鉄道の姫路駅はリニューアルが進んでましたが、
港のターミナルは古いままです。
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かなり大きなフェリーに乗船。
大人一人1000円ほど、自転車は500円。
たためば自転車料金はいらないそうですが、
ここまで来てケチるのもあれですし、
輪行袋に入れたK3を客室まで持って上がるのも面倒なので、
そのまま積んでもらいました。
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2時間弱の船旅。
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小豆島の北東部にある福田港へ。
西にある土庄が小豆島の表玄関で、
こちらは裏口といった感じ。
それにしても山のボリュームがものすごく、
島とは海に突き出た山であることを実感。

念のために、島の中部を貫くスカイラインを進む
ルートデータもGPSに入れてはあったのですが、
この光景を見て却下することを決定。
もうミニではがんばりませんよ(汗)。
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四国でおなじみのブルーライン。
瀬戸内海に浮かぶ島は、関東人からすると
何県に所属してるのか曖昧に思えますが、
小豆島はれっきとした香川県です。
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海岸沿いを進みます。
やはりアップダウンが多めで、6kgほどの
キャンプ道具を積んだK3ではノロノロ進むしかありません。
島のセオリー通り時計回りに進み、
池田湾に面したキャンプ場をめざします。
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小豆島の輪郭は、「西を向いた牛」と称されます。
利用するキャンプ場は、前足の付け根にある
小豆島ふるさと村です。
ここに2泊の予定。すると、2日目は軽装で
走ることができるのです。
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小豆島は石材の産地として著名で、
大坂城の石垣を作る際に利用されたという
石切り場が点々とあります。
加藤清正や小西行長といった
全国区レベルの武将が寄り集まって、
天下人のためにせっせと切り出したそうです。

小豆島と言えばオリーブ、というイメージでしたが、
坂と石という文字通り硬派な印象が
強くなってきました。
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小さな坂をいくつも越えていくと、
自転車キャンプのグループに遭遇。
4台くらい停めてありましたが、
どれも装いがおしゃれで素敵。
自分のドカ積みK3が若干場違いに思え、
そそくさと通りすぎました。
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後ろ足あたりの街に入ると、
醤油の大きな醸造所が現れました。
濃厚な醤油の香りも漂い、
関東では馴染みの野田や銚子のような
雰囲気。いろんな表情を見せてくれる島です。
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半島から半島が生えるような
複雑な海岸線を進んでいきます。
ほとんどC字型に囲まれた内海湾は、
昨日さんざん見てきた琵琶湖を思わせます。
このあたりが「二十四の瞳」のメイン舞台で、
作中通り、陸路より海路のほうが
移動距離が短くなりそうな入江を形成してます。
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「岬の分教場」に到着。
昭和46年まで使われていた分校で、
ちょっと駅舎っぽい素朴な校舎。
ヒロインの大石先生が12人のお子らを
教えた分教場のモデルです。
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今回の小豆島訪問にあたって、
「二十四の瞳」を読み返したのですが、
激動の昭和を背景とした
感動ぼろ泣きの小説なのは間違いない名作です。
ただし、
書かれたのが戦後まもない時期だからか、
作者の思想信条からか、
かなりあざとい反戦表現が散見され、
端的に言えば「左」アピールが強い作品なので
人によっては受け付けないかもしれないですね。
過去2回映画化されてるそうで、
そちらのイメージが強い人も多いでしょう。
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本物の分教場跡の少し先に、
映画のロケセットを活用した「映画村」があります。
まさに岬の村全体が再現された感があり、
CGなどない時代の映画は
気合い入ってるなあと驚きました。
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映画村にも当然ながら分教場。
そして……
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優雅な婦人車がさりげなく置かれてます。
「二十四の瞳」では、ヒロインのキャラを際立たせる
道具として、自転車が大活躍してます。
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分教場のなかにもう一台。
映画で使われたらしいです。
安藤自転車工場製の「オリバー」というモデルのようです。
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バッヂはオリーブがモチーフ。
レトロ自転車に詳しくなく、映画も見てないので
詳細は判断できませんが、小豆島にぴったりの
自転車だと思いました。
作中では自転車の仕様に関する記載はないものの
(ピカピカした、とかそのくらい)
昭和3年に新米教員(ヒロイン)が
5回払いで買ったという記述がありました。
この映画用のオリバー号が
昭和3年当時の自転車を再現してるのかはわかりませんが、
昨今のシティサイクルとは比較にならないほど
高級な乗り物だったことは間違いないでしょう。
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映画村では、給食を模した
食事をいただきました。
揚げパンとカレー。
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映画村を後にしてサイクリング再開。
すると、4サイドでさらにリアキャリアに
でかい荷物箱を積んだ重装備サイクリストを追い抜きました。
とっさのことで写真も撮りませんでしたが、
「日本一周」と看板つけてました。
僕はそういう看板をつけることに「?」なのですが、
日本一周してる中で小豆島を訪れるのは
なかなか渋いなあと思いました。
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島の南側は割と都会的で、
コンビニもある街が次々と現れます。
しかし、「オリーブ〜」が多いこと多いこと……。
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40kmほど走って15時前に
小豆島ふるさと村に到着。
小山の麓を切り開き、ひな壇状に
テントサイトやコテージが設けられてます。
自転車・徒歩旅向けのスペースと料金設定があり、
1泊1000円でした。
シャワーあり、東屋にコンセントありで、
なかなかのグランピング仕様。
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ささっと設営。
ドームシェルターと薄い寝袋を採用した分のスペースで
イスや焚き火台なども持参。
外で過ごしやすい季節になってくると、
道具の選択肢が広がります。
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至近距離に釣り桟橋があり、300円ほどで
利用できます。
隣接した道の駅で料金を払うのですが、その際に
「釣れてますか?」と受付の方に聞いたところ、
「まだ寒いですからね……」と
可哀想と思われたようなお返事。
投げてみなけりゃわからない、ということで
ジグサビキしてみましたが、魚影ひとつ見えず、
当たりも皆無。それでいて藻が多いようで、
メタルジグを2つも喪失して撤退。
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池田の桟敷。棚田? と思いましたが、
なんとも豪壮な、お祭りの見学席です。
これも石材に恵まれた島ならではなのでしょう。
すぐ近くのコンビニで食材を調達し、
キャンプ場に戻ります。
小豆島の首都である土庄も近いのですが、
それは明日のお楽しみ。
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コンビニおでんにウインナーを追加しただけの
夕食。十分十分。
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岩槻が舞台のアニメが
最新話配信されていたので視聴。
なんとも文化的でオタクなキャンプ、たのしー(笑)。

そこそこ酔っ払って寝に着くと、
次第に雨が……。夢見心地でしたが、
一時はかなり激しく降ったようでした。
まとまった雨が降る予報じゃなかったのに。
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翌朝もどんより。
シングルウォールのシェルターは、
やはり浸水と結露がそこそこあって、
中に敷いたエマージェンシーシートによって
かろうじて寝袋の水没を防いだ感じでした。
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10kmほど走って、土庄のエンジェルロードへ。
干潮になると島への道が現れる……という
伊豆で言うところのトンボロって現象ですが、
ここでは恋人の聖地として目玉スポット。
干潮でないと、ただの島w
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エンジェルロードの近くに伸びる堤防へ。
天候も回復し、気温も上昇。
これならお魚も活性化すると思いましたが、
まるで反応なし。海の透明度も低く、
やはり雨の後は釣れないのでしょうか。
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ほどほどで釣りを切り上げ、
趣味性が強いサイクリングにレッツゴー。
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既視感がある素敵な神社。
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押上(東京)にある高木神社の絵馬もあって、
参拝者の篤い信仰心を感じます(笑)。
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オリーブ大樹。
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どんどん晴れてきて海が輝きだしました。
そして竿を出しましたが、やはり無反応。
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土庄港へ。
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満足。
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尊い。
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街中を流れる河川、ではなくて、
本島と前島を分かつ土淵海峡。
ギネスに登録された、世界一狭い海峡とのこと。
いろんな世界一があるもんだなあ。
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路地裏サイクリング。
やっと本領を発揮するK3。

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大きなダイソー。
土庄には大きなスーパー(マルナカ)や書店、自転車店もあり、
仕事さえあれば住んでもいい、というか住みたいレベル。
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最近は釣り具も充実してるダイソー。
ワームというのを買って初挑戦。
しかし、釣れない時は釣れない……。
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そうこうしてるうちに、
エンジェルロードが出現してきました。
すると、観光客が集まりだしました。
お若い女性同士が多いようでした。
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おっさんの居場所なし(汗)。
マルナカで食材を買って、早めに
キャンプ場に戻りました。
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濡れたあれこれを干します。
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オリーブ牛を奮発して
すき焼き。
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調理スキルを問わず、
食材が味を保証してくれるレシピが
ソロキャンプには最適でしょう。
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夜も気温10度を下回ることなく、
シェルターの外で心ゆくまで
焚き火とお酒を満喫。
ちょっと前まで雪中キャンプしてたことを思うと、
日本という国の季節感の多様さに
感動するばかり。
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翌15日は、家に帰えるための
旅のはじまりです。
帰れるうちは旅じゃない、という説もありますが、
帰れないと旅が生活になってしまいますからね……。
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昨日は温存しておいた、
富丘八幡神社へ。
ここも桟敷が立派です。というか、小豆島以外で
こんな石造りの桟敷を見たことがありません。
「高木さん」の作中で見た時は、
なんだろうコレ? と違和感を覚えるほど
非現実的と思えた光景でしたが、こうした目の当たりにしても
なんだか信じられないような……。
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まるで山城ですが、
これを桟敷、つまりはお祭りの鑑賞席として
作った小豆島の人々の情熱と技術がすごい。
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天空に伸びるかのような参道。
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圧巻の展望。
屋島がよく見えます。
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山門が額縁のように
瀬戸内を飾ります。
ダホンK3でビワイチ&小豆島キャンプ_d0211129_21035788.jpg
控えめに掲示された高木さん。
ここを訪れることができただけで、
小豆島に足を伸ばした甲斐がありました。

当初、入島した福田港まで走って、いちおうは
島を一周しようかと思ってましたが、
すっかり満ち足りた上に重装備のK3で走るには
手強い島だと痛感したので、
土庄港から岡山に渡ることにします。
小豆島は、あちこちの港にあちこちからフェリーが
就航してます。
ダホンK3でビワイチ&小豆島キャンプ_d0211129_21064835.jpg
早めに着いた土庄港でぼんやりしてると、
高松からのフェリーが入港してきました。
ダホンK3でビワイチ&小豆島キャンプ_d0211129_21072546.jpg
船のアニメラッピングは
寡聞にして初めて。
ダホンK3でビワイチ&小豆島キャンプ_d0211129_21075630.jpg
尊い。
ダホンK3でビワイチ&小豆島キャンプ_d0211129_21081978.jpg
まるでK3に乗ってるようだ(笑)。

このフェリーに乗って高松に
行ってしまいたくなりましたが、
仕事や旅費などもろもろ
その後の人生が破綻しそうなので、
拳を握ってぐっと我慢。
ダホンK3でビワイチ&小豆島キャンプ_d0211129_21093311.jpg
岡山行きのフェリー。
ダホンK3でビワイチ&小豆島キャンプ_d0211129_21095166.jpg
さらば、小豆島。
ダホンK3でビワイチ&小豆島キャンプ_d0211129_21101828.jpg
新岡山港から岡山駅へ走り、
桃太郎さんに見送られて家路についたのでした。

以上、ビワイチ&小豆島の旅でした。

正直なところ、
いわゆるビワイチはもういいかな〜という気持ちですが
(もっと時間をかけて旅の濃度を上げたい)
小豆島は今すぐにでも再訪したいくらい。

今度は、高松や観音寺とからめた
旅を実現したいものです。
あとは釣果だよ!




# by cyclotourist | 2022-03-16 21:39 | おしらせ | Comments(0)

薪ストーブ導入

こんにちは、田村です。
薪ストーブ導入_d0211129_18201680.jpg
先日、「薪ストーブ」なるものを導入しました。
雪国の旅館などで見かける暖房器具ですが、
最近は冬キャンで見かけることが多くなったアイテムです。
ほとんどの方がクルマ移動だと思いますが、
なかには自転車キャンプで採用している方もいるようで、
ちょっと気になっていたのです。

寒さは寝袋とマット、そしてウエアで
対応するのが基本とは思いますが、
モノは試しというわけで、自転車に積めそうな
軽量コンパクトな薪ストーブを探してみました。
薪ストーブ導入_d0211129_18374961.jpg
Pomolyという、おそらく中国ブランドの
TIMBER Miniというモデルを選びました。
ざっと調べたところ、これが一番小さくなって軽いようなので……。
チタン製で重量は2kg、収納サイズはA4で厚さ4cmくらい。
お値段は4万6000円ほど。
リアル店舗での取扱はないようなので、同ブランドの
サイトでぽちりました。
高額製品をネットで買うのは気が進まない
世代のおっさんですが(スタッフからノウハウ得られませんし)
仕方ありません。
1週間ほどで、しっかりした梱包で
届きました。
薪ストーブ導入_d0211129_18422722.jpg
ストーブ本体に加え、巻き煙突なるものと
その根元につけるダンパー、先端につけて火の粉を抑える
スパークアレスターなど一式がセット。
収納袋と軍手まで入ってます。
薪ストーブ導入_d0211129_18455393.jpg
0.6mm厚のチタン板を組み合わせる
素朴な構造。
薪ストーブ導入_d0211129_18465077.jpg
四隅に長いシャフトを通してナットで
締め上げれば完成。
薪ストーブ自体が初購入なので
よいも悪いもわかりませんが、
実測でちゃんと2000gだったので
軽いのは間違いありません。
薪ストーブ導入_d0211129_18492917.jpg
ベランダで火を入れてみました。
奥行きが限られているので、長い薪は
切る必要があります。
薪ストーブ導入_d0211129_18502807.jpg
薪が燃えだすと、煙突から
盛大に煙が出ます。長い煙突(3m)が
上昇気流を生み出して、
本体の燃焼室に空気がすーすー吸い込まれるようになり
どんどん薪が燃えていきます。
しかし、池袋の路地裏に建つ狭小住宅で
こんなことしてると通報されそうなので、
早々に薪を取り出してバケツへ。
なにはともあれ使えることがわかりましたので、
翌日にはキャンプ場を目指しました。
薪ストーブ導入_d0211129_18545364.jpg
常磐線の石岡駅まで輪行。
めざすキャンプ場は、勝手知ったる大洗です。
道中もキャンプ場も見知った環境でないと、
新しい道具を試すのは不安ですからね〜。
薪ストーブ導入_d0211129_18555777.jpg
薪ストーブを収めるために、
フロントにチューブスのエルゴというキャリアを付け
(10年以上前に買ったのをガレージで発掘)
オルトリーブのグラベルパックを吊るしました。
いわゆる「2サイド」と呼ばれるスタイルと
バイクパッキングの折衷です。
このグラベルバイク、レネゲードはキャリア用の
アイレットも豊富なので、いろんな搭載方法を
実践することができます。
薪ストーブ導入_d0211129_18583313.jpg
霞ヶ浦を経て大洗へ。
荷物重量は10kg近いですが、
坂がなければどうということはありません。
ルートは100%舗装路としたので、
パニアバッグでも不安定さは
感じませんでした。
薪ストーブ導入_d0211129_19003794.jpg
涸沼湖畔の食堂「いきいき」でお昼。
ハゼ丼が定番です。
ハゼが美味しいのは言うまでもないですが、
ご当地野菜の数々も美味。
ボリューム満点です。
薪ストーブ導入_d0211129_19021659.jpg
14時過ぎには大洗の街に到着。
ノコギリを忘れたので、豊年屋さんで
「黒森峰」の軍手とともに調達。
薪ストーブ導入_d0211129_19033518.jpg
薪ストーブ導入_d0211129_19035073.jpg
ひさしぶりの訪問でしたが、
やはり「帰ってきた」感のある大洗キャンプ場。
一時は毎週のように訪れてましたからねえ……。
薪ストーブ導入_d0211129_19060961.jpg
薪ストーブがあるとはいえ、
それがなくても耐えられるくらいの
防寒着やマットは持参しました。
海水浴のイメージが強い大洗ですが、
北関東ですから東京よりは
ぐんと冷え込みます。
分割式にしたサーマライトのZライトソルは
北海道で申し分のない機能を発揮してくれたので
今回も起用しました。
一方、薪ストーブで調理することを前提に、
バーナー類は割愛しました。
薪ストーブ導入_d0211129_19085041.jpg
巻き煙突を展開。
幅20cmほどの短辺で巻いてあるチタンシートを
長辺で巻き直して長さ3mの煙突にするという、
「無茶言うなよ」と突っ込みたくなる仕様ですが、
ぐりぐりやってるうちに巻き直せるから
不思議なものです。
薪ストーブ導入_d0211129_19110842.jpg
本体は、ベランダで短時間火入れをしただけで
虹色に変色してます。
美しいか汚いかは、意見が分かれるところでしょう(笑)。
薪ストーブ導入_d0211129_19122573.jpg
薪ストーブ用のワンポールテントも
初使用。これもPomoly。インナーテントが付属しますが、
今回は家に置いてきました。
床なんて飾りですよ(冬場で条件がよければ)。
煙突の上部につけるスパークアレスターに
3本のガイラインを接続し、地面にベグで固定してます。
松林にある大洗キャンプ場は
風が弱いので、スムーズに設営できました。
薪ストーブ導入_d0211129_19154483.jpg
テント内上部に一酸化炭素チェッカーを吊るしました。
薪ストーブを使うなら必携らしいです。
フロアレス運用なので換気はよいと思いますが、
念のため……。ただし、このチェッカーは
常に「ゼロPPM」でした。
安い製品を買ったからか、
実際に換気がよかったからかは不明……。
こうした保安装置には
もうすこし投資してもよかったかな、とは思いました。
クルマのマフラーに近づけることで
動作確認できるそうですが、クルマ持ってないし(汗)。
薪ストーブ導入_d0211129_19193694.jpg
キャンプ場で薪を調達し、点火。
しかし、いまいち薪が湿気っていて元気ないので、
すぐ裏にあるスーパーで買い直しました。
すると、固形燃料一発で盛大に燃えだしました。
薪ストーブ導入_d0211129_19205250.jpg
スルメをあぶったり。
津軽鉄道のストーブ列車でこれを
いただいたことがあり、再現したかったのです。
薪ストーブ導入_d0211129_19213143.jpg
鍋なんかも天板で余裕です。
外は氷点下4℃くらいまで冷え込みましたが、
なかは10℃近い暖かさ。
こんなアイテムがあるから冬キャンする人も
増えたんだな〜と、半ば悔しさと共に実感しました。

とはいえ、先の北海道のような
極寒&野良キャンでは使えません。
設営にかなり時間と手間を要するので、
氷点下10℃といった環境では凍えてしまいます。
また、薪が調達できないと
テーブルにしかなりません(笑)。
そういう意味では、薪ストープは
好条件で楽しむ遊び道具のひとつであり、
寝袋のような必須アイテムではないな、とも思いました。

天国のように暖かいのは間違いありませんが、
つきっきりで世話をしないといけないので、
自分のように泥酔して寝るような
輩には一抹の不安もあります。
本当に天国へ行きかねない(汗)。

薪ストーブは、
暖かい寝袋やらあれこれを用意した上で、
もう何もキャンプ道具を買う必要がないのだけど
なにか欲しい……みたいな、
「沼」を感じさせるアイテムかもしれません。
ランドナーを持っていて、次はスポルティーフ、
さらにブルベ用に軽快な自転車もほしい、
あと折りたたみ自転車もね……みたいな
自転車の沼と同じですね(汗)。
薪ストーブ導入_d0211129_19332125.jpg
せっかくの薪ストーブを活用すべく、
つい先日は長野を訪れました。
自分は大宮駅から北陸新幹線に乗るのですが、
すると1時間弱で長野駅。
なんど乗っても、その速さに感動します。
長野駅前にはほとんど雪がなく、
再装備したスパイクタイヤは
無駄だったかと思いましたが……。
薪ストーブ導入_d0211129_19345601.jpg
国道406号を進むと、
場所によってはいい感じに積もってます。
スパイクタイヤは重量も転がりもズッシリきますが、
滑りにくいという安心感が頼もしいです。
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裾花ダムは凍って雪が積もってました。
なかなか新鮮な光景。
薪ストーブ導入_d0211129_19373531.jpg
鬼無里の集落を抜けて嶺方峠へ。
今回も当然ながら(?)ソロ。
2年前までは、ここに仲間とよく一緒に来ていたことを
思い出して涙ぐみます。
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標高1100mまでゆっくりゆっくり上り
(荷物が重いし、汗をかかないように)
待望の白沢洞門へ。さて、北アルプスは……
薪ストーブ導入_d0211129_19401653.jpg
惜しくも雲がかかってました。
青空が出てるだけよしとしましょう。
薪ストーブ導入_d0211129_19411210.jpg
三脚を割愛したので自撮りができないのですが、
通りすがりの方が撮ってくれました。
ありがとうございます。
長野駅を8時過ぎに出発して、
およそ40km走って嶺方峠に着いたのが12時。
かなりゆっくりですが、この装備と路面では
上々でしょう。
やっぱり峠を越えると達成感があります。
薪ストーブ導入_d0211129_20141077.jpg
下りはいっそう慎重に……。
途中の分岐で、木崎湖方面へショートカットすべく
県道に入ったところ、途端に
路面の積雪が増えました。
何年か前にも経験したので予期していましたが、
その時はMTBで日帰り。グラベルバイクで
フロント2サイドだと、写真のようにわずかな
わだちでもハンドルを取られてしまい、
かなり難儀しました。万一にも転びたくないので、
部分的に押し歩いたほどです。
薪ストーブのために採用したフロント2サイドですが、
雪道では厳しいことを痛感しました。
薪ストーブ導入_d0211129_20182370.jpg
13時半くらいに青木湖のゼーブリックさんに到着。
辛めのネギラーメンがうまいことうまいこと……。
実はここで、関西の自転車仲間と偶然に遭遇。
この世相ですから疎遠になりがちでしたが、
それだけに偶然が必然に感じられて癒されました。
薪ストーブ導入_d0211129_20211591.jpg
ほどなくして木崎湖キャンプ場に到着。
この季節は無人だろうなと思ってましたが、
ソロキャンパーやコスプレ撮影の方が
次々といらっしゃっていて驚きました。
薪ストーブ導入_d0211129_20232218.jpg
ワンポールテントを張ります。
さすがに竹べらの雪ベクでワンポールを
張るのは無理なので、長めのX字型ペグで。
しかし手や足では凍結した雪や土になかなか差し込めず、
近くの方にハンマーをお借りしました。
新しい装備だと反省に事欠きません……。
ちなみに、翌日にペグを抜くのも大変でして、
沸かしたお湯を注ぎ込んでなんとか……。
これは凍りやすいアルミペグだからだと思われ、
こうした環境では鍛造の鉄ペグが
よかったのかもしれません。
薪ストーブ導入_d0211129_20273640.jpg
大洗で一度使っただけで、
すでに10年もののような風格を出してきた
薪ストーブ。
加熱を経た本体はベコンベコンに歪んでおり、
組み立てるのが最初の5倍くらい手間でした。
薪ストーブ導入_d0211129_20290985.jpg
なんとか設営を完了し、
薪ストーブが本気を出してきたら
極楽です。なにかと手間がかかるブツですが、
それだけに可愛らしいと言えなくもない……。
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おでんに熱燗……冬キャンの
醍醐味を満喫しました。
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翌朝は氷点下7℃まで冷え込みました。
就寝中は当然ながらストーブに薪を追加できないので、
やはり寝袋が頼れないとヤバイのは
間違いありません。
薪ストーブ導入_d0211129_20350441.jpg
ゆっくり撤収して、
大町の山岳博物館へ。小高い立地にあり、
街から1kmしか離れてないのにこの絶景。
博物館は臨時休館中でしたが、
足を伸ばしてよかったです。
しかし、あの山並みに自分の足で登る
人がいるということに驚きます。
薪ストーブ……なんてできる
自転車キャンプはお気楽なものです。
薪ストーブ導入_d0211129_20391751.jpg
信濃大町駅から新宿駅へ直行する
「あずさ」で家路へ。
新幹線に比べると3倍くらい遅いですが、
車窓は楽しめます。

こうして、大洗と木崎湖、
二箇所で薪ストーブありのキャンプを体験しました。
「アリ」か「ナシ」か極論すれば、
アリだとは思う道具です。
なにより暖かいですし、使って面白い。

ただし、薪ストーブを使うためのキャンプ、
という様相を呈してくるのは間違いないです。
バッグなどを吟味すれば、峠越えとも両立しますが、
道中の快走感は薄れます。まあ、キャンプという時点で
それはそうなのですが(汗)。
寒さをしのぐだけなら、寝袋と防寒着が
しっかりしていれば問題ないです。
もともと趣味の世界のキャンプに、さらに一段と
欲張りな趣味を突っ込む、という感じかもしれません。

ちょっと前まで、キャンプでも
「いかに軽くするか?」といった
ウルトラライト風を追求していた自分ですが、
いまは「いかに何を持っていくか?」を
考えるのが楽しいですね。




# by cyclotourist | 2022-02-16 21:04 | Comments(0)

道東ツーリング【装備編】

こんにちは、田村です。
道東ツーリング【装備編】_d0211129_15202170.jpg
忘れないうちに、先の道東ツーリングの
装備についてまとめておこうと思います。
今回の準備にあたって、一昨年の
道北ツーリングを記録した自分のブログが大変役立ったので
(2年前のことなんて覚えてないw)
後日の自分のためです。つまり備忘録。

冬の北海道をキャンプツーリングしたい! という
奇特な人がいたら、ぜひ参考にしていただきたいと思いつつ、
あくまで「参考」にとどめてください。
自転車キャンプには、そもそも正解や決まりなどはなくて
十人十色の自由なものです。
筆者がよいと思っても、使い手と環境が違えば
「だめだこりゃ」ということもあるでしょうし、
筆者自身も、明日には違う自転車や装備で
旅立つかもしれません。
また、氷点下で過ごすことになると、
「あ〜失敗したw」みたいに笑ってすまない事態に
陥ることもあるかと思います。
要は
「田村がいいって言うから試したけどダメじゃん!」
とか怒らないでね、ということです(汗)。
道東ツーリング【装備編】_d0211129_15274533.jpg
自転車はジェイミスのレネゲードC2という、
ド定番のアドベンチャーバイク(グラベルバイク)です。
これに、仲間から借りパクしてる
シュワルベのマラソンウインター700×40Cという
スパイタイヤを履かせています。

今回の道東は雪が比較的少なく、
除雪も行き届いてましたが、
当然ながら路面に雪が皆無ということはなく、
通常のタイヤでは即スリップ、転倒というシーンは
無数にありました。
スパイタイヤは必須装備でしょう。
ほかに自転車側に特別な追加装備はありません。
尾灯を3つ付けたくらいでしょうか。

バッグ類は、いつも愛用しているオルトリーブ。
最近出たハンドルバーパックQRは、
容量に余裕があっていい感じです(11ℓ)。
フォークに付けたケージはトピークです。
ドライバッグの固定には、
ブラックダイヤモンドのスキーストラップを使ってます。
道東ツーリング【装備編】_d0211129_15313618.jpg
持って行ったキャンプ道具一式。
よくもまあこれだけのモノを自転車に
積んだと思われるような物量ですが、
寝袋とマットが異様にかさばっているほかは、
意外とシンプルで軽量・小型の道具を選んだつもりです。
道東ツーリング【装備編】_d0211129_15335197.jpg
1. 寝袋
 イスカの630EXというモデルで、
 最低対応気温マイナス15℃をうたってます。
 今回、シェルター内でも
 マイナス10℃以下の気温を経験しましたが、
 ダウンウェアをがっつり着込んで寝袋に入れば、
 ほぼ快適に眠ることができました。
道東ツーリング【装備編】_d0211129_15354698.jpg
この寝袋が巨大で搭載に悩むのですが、
今回はコイツにシートバッグをほぼ占有させることに。
スタッフバッグを用いず、シートバッグに
直接押し込みました。
一昨年はフォークラックに懸吊しましたが、
今回フォークラックはマット類に譲りました。
シートバッグは最大サイズまで伸びてパンパンですが、
寸法の割に軽くなり、サドル下への取り付け作業などが
行いやすく、走行中の揺れも減らせたと思います。

2. シュラフカバー
 30年以上前に親父から借りパクした年代物。
 いちおうゴアテックス採用ですが、加水分解でぼろぼろ。
 しかし、シェルターの結露で寝袋を濡らさないように
 採用しました。また、ブーツやグローブ、水など
 凍ったらまずいものを入れておくにも
 役立ちました。寝袋に直接入れるよりも寝心地がよく、
 特にブーツは、寝たときの足置きのようにもなって
 冷えを防いでくれました。

3. 銀マット
 1mm厚くらいの汎用品です。
 シェルターの底面サイズぴったりに切り出してます。
 これを敷いておかないと、後述のマットから
 手足がはみ出た時にヒヤッと冷たくてやりきれません。

4. エバニュー・トレイルマット
 厚さ9mmのポリエチレンフォーム。
 フォークラックに吊るしやすいように
 カッターで三分割。ベルクロ(面ファスナー)で
 合体できるように加工してます。
道東ツーリング【装備編】_d0211129_15454545.jpg
5. サーマレスト・Zライトソル
 クローズドセルマットの大定番ですね。
 ふだんは小さくしまえるエアマット派なのですが、
 パンクしたら保温力が失われて寝てられません。
 夏場なら「またパンクしやがって」と
 呆れながら買い直せばすみますが、
 冬の北海道では致命的……。
 そこでパンクの心配が物理的にない
 クローズドセルマットを起用。
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しかし、そのままではバッグに収めようがありません。
キャリアかバッグの上にくくりつけるのが一般的ですが、
入るものならバッグに収めたい……。
道東ツーリング【装備編】_d0211129_15493104.jpg
こちらもカッターで一刀両断。
これを思いついたので、あとからエバニューのマットも
加工したのです。
道東ツーリング【装備編】_d0211129_15501044.jpg
使う際は、ベルクロで合体させます。
瞬時に使える、というクローズドセルマットの
手軽さは損なってしまいますが、エアマットを膨らませるよりは
楽でした。
道東ツーリング【装備編】_d0211129_15513932.jpg
半分をフロントバッグに、もう半分をシートバッグの
最後尾に収納しました。
道東ツーリング【装備編】_d0211129_15521342.jpg
こうして、銀マット+トレイルマット+Zライトソルという
三重マットを構築してシェルター内で過ごしました。
おかげで地面に体温を吸われることなく、
座っても寝ても快適でした。
道東ツーリング【装備編】_d0211129_15545436.jpg
右のフォークラックには、
トレイルマットの半分を丸めて
ドライバッグに入れて懸吊、
左のフォークラックには、
ドライバッグにトレイルマットの残り2/3ほどを入れ
間にダウンウェア類を詰めました。残り1/3だけ、
どうしてもバッグに収まらず、
左フォークラックに外部懸吊しました。

6. ツールボトル×3
 2つに工具類やライトの予備バッテリーを、
 1つにバラクラバ(目出し帽)を。
 今回はディレーラーハンガーもしっかり携行しました(汗)。

7. ツーリングマップル北海道2021
 いまや紙の地図を持つことは滅多にないのですが、
 経験的に北海道ではアドリブでコースや
 キャンプ地を決めることが多いので携行。
 スマホでもいいといえばいいのですが
 (ツーリングマップルの電子版も持ってます)
 寒冷下では電池の減りがかなり早く、
 そのストレスを少しでも減らすには紙がいいです。
 あと、古いツーリングマップルを使ってる人が多いですが、
 毎年少しずつでも情報が更新、追加されているので、
 最新版をおすすめします。

8. モバイルバッテリー(合計容量34000mAh)
 これだけあれば4日は持つだろうと思ってましたが、
 ギリギリでした。しかも、昨今はコンビニのイートインスペースが
 閉鎖されていることが多く、道中での充電が
 難しいのもネック。
 また、マイナス5℃を下回ると、うまく給電しない
 ことが多かったです。ふところであたためることで
 回復しましたが、やはり容量の減りが激しく、
 それも5泊目に民宿を利用した大きな理由です。

9. ウエストバッグ
 おもにカメラ入れとして。
 ダイヤさんのカラビナが付いてますがw
 これはお店などに入る時に外したグローブを
 下げるためです。自転車に置いておくと凍ります。

10. 自転車用サーモス
 これがないと凍ってしまいます。
 冷水をいれるとやはり凍ってしまうので、
 沸かした湯を足したり、ホットドリンクを
 買って入れてました。

11. クッカー
 ユニフレームの角形クッカーの小さいほう。
 袋麺は割れば入ります。
 チタンカップがふたつあれば、
 熱燗ができます。
 
12. ヘッドライト
 ちょっとお高いのですが、ペツルの
 充電・乾電池にどちらも対応するモデル。

13. リモート温度計
 SwitchBotというリモート温湿度計。
 外に転がしておけば、シェルター内にいながら、
 スマホで外気温がわかります。ログもとれますので、
 あとからも気温を確認でき、
 防寒具の妥当性などを検証できます。

14. ポーチ(調味料入れ)

15. SOTO・レギュレーターストーブ ST-310
 レギュレーターの効果かどうか、
 通常のCB缶でもなんとか使えました。
 イワタニのより薄くたためるのがいいですね。

16. ユニフレーム・バーナーシート小
 シェルター内、マットの上で調理するので
 少しでも防炎のためにと……。

17. ヘリテイジ・クロスオーバードームf
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 自立式のシングルウォールシェルター。
 一般的なテントより素早く設営できるので導入。
 600gを切る軽さと小ささも魅力。
 また、設営サイズ(特に幅)が小さいので、
 整地(雪を踏みしめる)が楽。
 保温効果も高いと思われました。実際、
 外気温より中は3〜5℃は暖かくなりました。
 その分、結露がすさまじいのはリポートしたとおり。

18. 雪ペグ
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 100円ショップの竹しゃもじを加工。
 ガイラインへ素早く接続するためカラビナを結んでます。
 冬の北海道で野良キャンする場合、
 通常のペグはまず刺さりません(いちおう持ちましたが)。
 凍った土には刺せず、雪には効きません。
 そこで、こうした雪ペグを雪に埋めます。
 10cmくらいでも雪をかぶせて踏みしめると
 しばらくするとカチカチに凍ってガッチリ固定できます。
 回収するときは、ブーツで蹴り出します。

19. 三脚
 地鶏よう。当初はフレームバッグに収まってたのですが、
 凍ったシェルターが小さくたためなくなり、
 押し出される格好でシートバッグのバンジーコードに
 固定することが多かったです。

20. ダウンパンツ
21. ダウンジャケット
22. テントシューズ
 シェルター内ではこの三点を重ね着。
 また、コンビニでカイロを買って、
 靴下に貼ったり、ジャケットのポケットに
 入れたりしました。

こうして列記してみると、どれもおおむね
期待どおりの役割を果たしてくれました。
モバイルバッテリーだけは再考を要しますが……
耐寒仕様とかあるんですかね。

これらのおかげでマイナス17℃までは大丈夫でしたが、
マイナス20℃とかになっていたら、こうしてブログなど
書いてないような気もします……。
もちろん、本当にやばければ、自転車の場合は
宿を取るなり列車に乗るなりで回避できます。
雪山登山に比べれば、はるかに安全でしょう。
道東ツーリング【装備編】_d0211129_16311302.jpg
身につけたウェア。
これは、一昨年の道北ツーリングとほぼ同じ。
出番が少ないので傷まず、ほとんど流用できました。
道東ツーリング【装備編】_d0211129_16333618.jpg
1. アウタージャケット
 ファイントラックのエバーブレス
2. ゴールドウインの0℃対応ジャージ
 (今は輪界から撤退……)
3. フリースシャツ
4. ゴールドウインの0℃対応レーパン
5. モンベルの最厚手インナータイツ
6. ニッカ
7. レインパンツ
8. グローブ(額面上はマイナス25℃対応)
9. ネックウォーマー
10. バラクラバ(目出し帽)
 *これは雪が痛いときだけ着用し、
  通常は薄手のヘッドキャップを
  ヘルメットの下に着用。ちょっと耳が寒い。
11. インナーグローブ
12. 腹巻き的なウォーマー
13. モンベルの最厚手インナーウェア
14. ウールソックス
15. 勇者部てぬぐい

バラクラバやレインパンツは外すときも多かったですが、
これらすべて重ね着して行動しました。
シェルター内でもアウタージャケットを脱ぐだけで、
ほかは着たまま、ダウンを重ね着です。

いずれもかさばるので、基本的に着替えなし。
流れるほど汗をかくことがないので、
少なくとも本人は気になりません。

ただ、今回は途中で民宿を想定していたので、
上下インナーと靴下だけ、もう一着ずつ持って行きました。
その上に浴衣を着れば、ちゃんと一般人ですw

こうしたウェアも、今回のツーリングでは
大きな不満はありませんでした。
自転車用と登山用を組み合わせてるわけですが、
アウタージャケットだけは、自転車用として
デザインされた耐寒バージョンがほしいとは思いました。
乗車姿勢で使い易く大きなポケット、十分に高い前たて、
大面積の再帰反射プリントなどを備えた上で、
軽い防水透湿素材で作ってくれたら……。
こうした限られたニーズに応えてくれる
メーカーがあるとも思えませんがw

大切なモノを忘れそうでした。
今回のために導入したブーツです。
道東ツーリング【装備編】_d0211129_16471760.jpg
コロンビアのウインターブーツ「サップランドアーク」に
フラットペダルという組み合わせです。

これまでは、トレッキングシューズか
防寒SPDシューズでした。
しかし、前者は重くて堅すぎて漕ぎづらく
後者はイマイチ寒い上に履くのが面倒でした。
そこで、北海道の人はどんな靴を履いてるのだろうと
調べたところ、こうしたブーツを
選んでいる人が多いようでした。

結果的に、これは大正解でした。
とても暖かく、そこそこペダルとの食いつきもよく
雪や氷の上で歩きやすかったです。
マイナス10℃での峠の下りでも、
つま先が痛くなるようなことはありませんでした。
価格も18700円と、まあ出せる範囲。
なお、購入の際は、現地で履くであろう
極厚ソックスを履いた上で
フィッティングしましょう。

以上、今回の装備でした。
道東ツーリング【装備編】_d0211129_16553731.jpg
思い出の漁師さんグローブ、
次の冬キャンでも使うぞ!




# by cyclotourist | 2022-01-16 17:16 | おしらせ | Comments(0)

道東ツーリング

こんにちは、田村です。
道東ツーリング_d0211129_09274409.jpg
1月6日から12日にかけて、
道東をツーリングしてきました。
一昨年の冬は道北をめざしましたので、
今度は景勝地いっぱいの道東というわけです。
また、前回はずっと雪曇りで晴れ間に恵まれなかったことも
悔やまれましたので、そのリベンジでもあります。

極寒下でキャンプツーリングですから、
なにはともあれ装備と天候判断が重要になります。
装備については後日に詳述するとして
ツーリングリポートをまずはまとめてしまいます。

スタートは釧路空港。そこから北上し、
弟子屈、美幌、女満別、網走と進んだら
オホーツク海に沿って斜里へ。
斜里からは知床峠超えが夏の定番ですが、
冬は通行止めなので、知床半島の付け根を
根北峠で横断して標津へ。
そして根室まで足を伸ばして釧路に帰ってくる……
という、誰もが考えそうな(?)
道東一周を計画しました。
道東ツーリング_d0211129_09334760.jpg
1月6日の早朝、池袋駅で輪行準備。
防寒装備でふくれあがってますが、
輪行はそれほど手間ではありません。
ただし荷物重量が10kgほどあるので、
かついで歩くのがしんどいのはやむをえません。
オレンジ色の携帯リュックには、
現地で着用するウエア類を入れてます。
東京の朝も冷えますが、零下を想定した
ウエアを着るには、まだ暑すぎるのです。
道東ツーリング_d0211129_09370963.jpg
羽田空港で自転車をあずけます。
けっこう入念に中身をチェックされ、
だいぶ荷姿が崩れてしまいました……。
道東ツーリング_d0211129_09380245.jpg
預けた荷物重量は19.3kg。
20kgを超えると超過料金が発生するそうなので、
シートバッグは手荷物として機内に持ち込みました。
道東ツーリング_d0211129_09390309.jpg
2時間弱で釧路上空へ。
主翼後縁あたりの席だったので、
フラップの動きを目の当たりにできて楽しかったw
今回の機材は737なので割とシンプルなフラップですが、
昔の747とかは凝っていて見飽きなかったものですよ。
道東ツーリング_d0211129_09405999.jpg
9時過ぎに到着し、ゆっくりと着替えや
自転車の組み立てを行い、10時前にスタート。
さすがにヒコーキは速い。
昔は(歳とるとこればっかw)「北斗星」で
渡道するのが大好きでしたが、道東となると
ヒコーキしか選択肢はないですね……。
電光掲示板はマイナス2.5℃の表示。思ったより暖かい。
道東ツーリング_d0211129_09444889.png
初日は鶴居村を経由して屈斜路湖のほとりまで。
ちょうど90kmの行程を走りました。
釧路の市街を経て、釧網本線沿いの国道391を
北上するのが定番ですが、
鶴居村でツルを見るのも一興と思い、
県道をつないで北上しました。
道東ツーリング_d0211129_09473140.jpg
小高い立地の空港から走り出すと、
思いのほかに雪が少なくて驚くほど。
まぶしい陽光とあいまって
ぽかぽかとのどかです。
道東ツーリング_d0211129_09483551.jpg
道に雪がないのは除雪されているからであって、
自転車道などは雪に埋もれてます。
スパイタイヤを履いていても、除雪されてない道は
乗って走ることが難しいので、自転車道はパスです。
道東ツーリング_d0211129_09495549.jpg
進む県道53号は、釧路湿原の西端に伸びていきます。
北斗坂など視界が広がるポイントが多いのですが、
それだけ地味にアップダウンが多い道です。
また、意外にもダンプなど大型車の通行が多く、
これは国道のほうが無難だったかな、と少し悔やみました。
道東ツーリング_d0211129_09510539.jpg
20kmほど走って、ようやくセイコーマートに会えました。
もちろん、計画ルート上のコンビニはすべて
確認してます。むしろ、コンビニが適当な間隔で
利用できるルートを作ってます。死活問題ですから。
北海道ツーリングは
コンビニ(おもにセコマ)をつなぐ旅なのです。
夏もそうですが、冬はなおさら命綱。
この序盤は、スパイクタイヤの抵抗と荷物重量に
体が慣れてないせいか、なかなか距離が伸びず
困るくらいノロノロです。
道東ツーリング_d0211129_09533333.jpg
ザンギ入りの焼きそばがうまい。
このご時世、イートインスペースがほとんど閉鎖されており、
外で食べざるをえないのは仕方ないところ。
道東ツーリング_d0211129_10450809.jpg
お昼過ぎには鶴見台に到着。
関東にも鶴見とか鶴間とか鶴ヶ島など「鶴」が
付く地名は多いですが、当然ながらツルはいません。
道東ツーリング_d0211129_10470336.jpg
ここの鶴見台には、ちゃんとタンチョウがいました。
それも群をなして、餌をついばんでます。
さすが北海道、と軽く感動。
道東ツーリング_d0211129_10484959.jpg
淡々と弟子屈方面へ向かっていくと、
時折は雪が降ってきました。
雪が顔に当たると痛いので、
ヘッドキャップをバラクラバ(目出し帽)に交換。
道東ツーリング_d0211129_10502812.jpg
弟子屈までゆるいアップダウンと
弱いながらも向かい風が続き、市街に着く頃には
日が落ちてしまいました。
とはいえ16時半……この時期のツーリングは
日照時間が短いのが悩ましいところ。
なにはともあれ、弟子屈のセイコーマートで
食材などをガッツリ購入し、
目星をつけておいたキャンプ地をめざします。
道東ツーリング_d0211129_10550025.jpg
ここをキャンプ地とする!
ぜんぜんどこだかわからないと思いますが、
屈斜路湖に小さく突き出した
和琴半島です。夏なら、湖畔に人気のキャンプ場が
開設されているのですが、この時期は当然ながら
閉鎖中。そこで、キャンプ場からは外れた
適当な公園的なところに張るわけです。
要は野宿です。

昔は全国どこでもいつでも野宿キャンプしたものですが、
昨今は避けてます。やはり見かけた方が不審がるでしょうし、
こちらも人目が気になります。
季節がよいと、夜になって出歩く人も多いですから
なおさらです。

しかし、冬の北海道だけは野宿が似合うと思います。
キャンプ場が閉鎖されているので
むしろ野宿しか選択肢がないともいえます。
もちろん、宿に泊まればいいのですが(汗)、
好きな場所で好きな道具で好きなように寝る、
というのが好きなのですから、仕方ありません。
道東ツーリング_d0211129_11001512.jpg
合体式マットを展開。
いつもはコンパクトになるエアマット派ですが、
今回は安全性を考えてクローズドセルタイプを携行。
サーマレストのZライトソルと、エバニューのトレイルマットを
二枚重ね。さらに一番下に、汎用品の銀マットを敷いてます。
これらの収納に頭を悩ましたので、
マットを切断、分割して収納することにしたのです。
どんなに踏んづけてもパンクしないという
安心感が頼もしく、保温力も上々。
道具はあとで詳述するとか書いてましたが、
これだけはつい書いちゃいました。
道東ツーリング_d0211129_11030711.jpg
セイコーマートの食材は、
本土ではあまり見かけない銘柄が多くて新鮮です。
(茨城や埼玉にもセコマはありますが)
道東ツーリング_d0211129_11052318.jpg
当然のようにシェルター内で調理します。
外は早くもマイナス10℃。とてもじゃありませんが
外で調理などできません。
マットの上に耐熱シートを敷いて、ちまちま調理。
ジンギスカンもどきのような夕食をいただきました。
誰もいない凍てつく湖畔で、狭いシェルターのなかで
ひとしれず宴会……これがたまらなく楽しいのですよ。
道東ツーリング_d0211129_11074710.jpg
今回はシングルウォールのシェルターを使ってるので、
なかで煮炊きなどすると、かなり換気しても激しく結露します。
そして凍結します。
道東ツーリング_d0211129_11083317.jpg
シエルター内は気温マイナス5℃くらい。
外より暖かいとはいえ、おちおちビールを飲んでられないことは
前回の道北ツーリングでも経験したので、
計画的にビールを控えめにしたかわりに、日本酒を買ってあります。
熱燗にすると体の芯から温まります。
チタンカップというのが若干興ざめですが、
ただでさえ大荷物なので、今回は最低限の
クッカーに絞りました。
道東ツーリング_d0211129_11103767.jpg
熱燗などやってると、ますますシェルター内は雪景色に。
ほどほどの酒量で晩酌を済まし、寝に入ります。
道東ツーリング_d0211129_11121724.jpg
凍ったらマズイあれこれを、シュラフカバーの
足元に突っ込んでおきます。
ブーツ、グローブ、水筒、お水などです。
このシュラフカバーは実に30年以上前のもの。
親父が登山で使っていたのを借りパクして、
はじめての野宿旅でも使った気がします。
とっくに加水分解がはじまってシームテープも
剥がれてますが、まだ役に立ちます。
道東ツーリング_d0211129_11135540.jpg
すっかり熟睡して、翌朝は6時に起床。
気温はあいかわらずマイナス10℃ほど。
このくらいでは屈斜路湖は凍りませんね。
道東ツーリング_d0211129_11145366.jpg
湖畔には稼働してるトイレがあり、
なにも困ることはありません。
道東ツーリング_d0211129_11153170.jpg
撤収を進めます。
この季節のツーリングの命綱と言える寝袋は
マイナス15℃対応のイスカ製。
あまりに巨大で収納場所に困る代物ですが、
これなしで寒中キャンプは考えられません。
以前はフォークラックに懸吊したのですが、
今回はシートバッグに直接収めることにしてます。
これも防水性に信頼がおけるオルトリーブならでは
かもしれません。
寝袋とシュラフカバー、それとマットの一部だけで
シートバッグはいっぱいです。
キツキツに収めるのに少々のコツが必要ですが、
小物をあれこれ詰める面倒に比べれば
まあ同じくらいの手間でしょうか。
道東ツーリング_d0211129_11190859.jpg
違う意味でシャキシャキのもやし。
道東ツーリング_d0211129_11200556.jpg
残り野菜とフィッシュハンバーグで
パワーアップした袋麺。質・量ともに朝食としては十分。
道東ツーリング_d0211129_11212970.jpg
なるべくシェルター内で撤収作業を進めます。
そして、外に出たら一気に自転車に装着。
ぐずぐずしてると凍えますから……。
道東ツーリング_d0211129_11225464.jpg
幸いにも天気は上々。
最後まで残しておいたシェルターをたたんで
フレームバッグに突っ込んだら出発。
道東ツーリング_d0211129_11234900.jpg
ちなみに、和琴半島は無料の露天風呂があることでも
有名。しかし、ビビリなので入る勇気はありませんでした。
道東ツーリング_d0211129_11251260.jpg
美幌峠へ。
北海道でいちばん好きな峠。
道東ツーリング_d0211129_11255834.jpg
日が高くなると気温はどんどん上昇。
路面の雪が溶けだすくらい。
南に面した屈斜路湖側から上ったので、
軽く汗ばむくらいの暖かさ。
道東ツーリング_d0211129_11272760.jpg
標高500mほどのピークに到着。少し雲が多いものの、
屈斜路湖を見渡すことができて大満足。
道東ツーリング_d0211129_11283053.jpg
美幌峠には立派な道の駅があり、
この季節でも温かい食事をいただくことができます。
思わず、ほたてラーメンを奮発。
さすがに店内は空いてましたが、ぱらぱら
観光客も訪れていました。
道東ツーリング_d0211129_11302018.jpg
懸案の下りに入ります。
南側はぽかぽかだったのに、北側の美幌へ降りる道は
気温マイナス10°C。南側を下りとすべきでしたが、
行程の全体を時計回りにしたかったのでやむなし。
道東ツーリング_d0211129_11315510.jpg
やはり北向きの道は雪が多め。
しっかり除雪されているので
スパイクタイヤのグリップは上々ですが、
凹凸があると弾かれるので気をつかいます。
なにより、指が痛くなって参りました。
道東ツーリング_d0211129_11334842.jpg
なんとか標高をはきだし、麓へ。
除雪車ががんばってます。
ちなみに、除雪車が後ろから来たら、
反対車線に移動しないと排雪に埋もれてしまいます。
道東ツーリング_d0211129_11355136.jpg
美幌の市街。
街中のほうが路面に雪が多く、
ワダチなどが彫られて走りづらくなります。

この日も90kmほど走る予定だったのですが、
美幌に着いた頃から右膝に痛みを覚えるようになりました。
峠の下りで足を回さず、冷えっぱなしにしたのが
原因かもしれません。
痛みをがまんしながら走る、なんて修行のようなことは
避けたいので、キャンプ地の前倒しを検討。
道東ツーリング_d0211129_11394286.jpg
こうしたアドリブでのルート変更もあるだろうと思ってたので、
ツーリングマップルを携行してます。ちゃんと最新版。
電池いらずで壊れない。
やっぱり紙ですよ、紙。
(と、ブログで訴える矛盾w)
道東ツーリング_d0211129_12105818.png
網走の先まで走る予定でしたが、
その手前およそ30kmの女満別でキャンプ地を探します。
このあたりは女満別空港を利用するため
なんどか訪れているので、あそこなら張れるだろう、という
目星がつくのが幸い。
道東ツーリング_d0211129_12340337.jpg
夏季はキャンプ場も賑わう女満別湖畔へ。
わかさぎ釣りか〜。いつかやってみたいけど、
寒さはサイクリングの比ではなさそう。
最近は釣りキャンばかりでしたが、
今回はさすがに釣り道具なし。
道東ツーリング_d0211129_12354442.jpg
予想通り、人知れず野宿できるポイントを確保。
15時過ぎには設営しました。
目の前に網走湖が広がるナイスロケーションながら、
実は駅もすぐ近くで、コンビニや温泉もあります。
こうしてサイクリングは60km弱で終了。
最初からこれくらいの距離で計画すればよかった……。
走るのが遅いのはいっこうに構わないのですが、
事前の計画と実際が合わなくなってくると困ります。
つまり、己の過大評価、慢心ですね。しばし反省。

道東ツーリング_d0211129_12371972.jpg
美肌の湯へ。
美肌効果はわかりませんが、ゆっくり湯船に浸かったら
膝の痛みも和らいだようです。
道東ツーリング_d0211129_12382634.jpg
コンビニ経由でキャンプ地に戻ると、
早くも夕暮れ。昨日は暗くなってからの設営に
なってしまいましたが、やはり明るいうちに
寝床は確保したいものです。
日が傾くと気温はぐんぐん下がり、
あっという間にマイナス13℃。
シェルターに潜り込みます。
道東ツーリング_d0211129_12400359.jpg
少し足をのばせばスーパーもあるのですが、
自分はセイコーマートで十分です。
ホルモンとほたて、本来は焼き物用だと思われますが、
網などないので鍋にします。
道東ツーリング_d0211129_12410326.jpg
冷えた体に染み渡るうまさ……。
道東ツーリング_d0211129_12414047.jpg
そして凍りつくシェルター。
中も余裕で氷点下なので、結露しても
寝袋が濡れたりはしませんが、体温で溶ける可能性はあるので
シュラフカバーを持参して正解でした。
道東ツーリング_d0211129_12425484.jpg
枕元の温度計がマイナス10℃を
下回ってきました。
道東ツーリング_d0211129_12450390.png
今回、「SwitchBot」というリモート温湿度計を
持ってきており(キャンプ仲間に教えていただきました)
それを自転車のうえに転がしているので、
シェルター内にいながらにして外気温も
スマホで知ることができます。
この日はマイナス17℃まで下がったようで、
自分のキャンプ史上における
最低気温を更新しました。
道東ツーリング_d0211129_12473717.jpg
空は澄み切って星がキレイ……なのですが、
落ち着いて写真も撮れない寒さ。身の危険を感じ、
とっとと寝袋にもぐりこみました。
寝袋に頭まですっぽり入り、ファスナーをしっかり締めて
こもっていれば、次第に暖かくなってきます。
ぬくぬく……。
道東ツーリング_d0211129_12501447.jpg
無事に朝を迎えることができました。
夜明けもマイナス16℃くらい。
撤収時や走り出してすぐは気が遠くなるほど
凍えましたが、日が昇るにつれて
暖かくなってくるのが救い。
道東ツーリング_d0211129_12571217.png
三日目は、女満別から能取岬を経て斜里まで
80km少々を走りました。
前日の行程短縮によって、当然ながらこの日も
アドリブでキャンプ地を決めました。
一週間で道東一周というのは無理になりましたが、
どうせ遊びの気楽な旅ですから、いざとなれば
輪行で帳尻を合わせればいいのです。
12日のフライト時間までに釧路空港に
戻っていれば無問題。
道東ツーリング_d0211129_13005061.jpg
網走湖の上をスノーモービルが走って行ったので、
自分も真似して湖上に進んでみましたが、
ふかふかの新雪が積もっているので乗車できず。
40mm幅くらいのタイヤでは接地圧が高すぎるようです。
道東ツーリング_d0211129_13022447.jpg
網走湖に隣接した能取湖。
海水のせいか沖までは凍結してませんが、氷が広がる様子は
なかなか幻想的。こういう景色が見られるだけで、
この季節に訪れた甲斐があるというもの。
道東ツーリング_d0211129_13052937.jpg
能取岬でオホーツク海と対面。
吹きさらしの地形のせいか、岬への開けた道には
積雪がみられず、あまり夏と変わらない
不思議な景色が広がっていました。
道東ツーリング_d0211129_13061789.jpg
網走の街を過ぎて国道244号に沿って進んでいくと、
海の向こうに知床の山並みが見えてきます。
神々しくも人を寄せ付けないような険しさを見ると、
冬は知床峠を越えられないのも納得。
道東ツーリング_d0211129_13491732.jpg
国道244号は、斜里まで釧網本線と並走。
この路線には木造駅舎がいくつも残っており、
深い旅情を感じさせます。
喫茶店やラーメン屋さんなど、店舗が
入ってる駅舎も点々と現れ、以前には
鉄道でハシゴしたこともあります。
今回は外から眺めるだけですが、
この調子で行程を短縮していくと
輪行で利用する機会もありそう。むしろ乗りたい。
道東ツーリング_d0211129_13524079.jpg
小清水町の道の駅は、なんとモンベルも隣接。
数年前にオープンして、ちゃんと健在。
キャンプに必要なあらゆるものが、道東の
オホーツク海沿いで手に入るとは驚きです。
もっとも、必要なものは全部持っていて
トラブルもないので、立ち寄りませんでした。
道東ツーリング_d0211129_13543404.jpg
ルパン三世ラッピングトレインに遭遇。
原作者が道東の浜中ご出身という縁だとか。
妻がけっこうルパン三世を好きなのですが、
自分にとってのルパン三世は
「カリオストロの城」だったりします。
すると、「ケッ」と蔑まれた記憶が……。
まあどうでもいいことですw
道東ツーリング_d0211129_13575613.jpg
斜里に着く頃には、すっかり日が暮れてしまいました。
オホーツク海沿いでは網走に次ぐ大都会が斜里(と思う)。
これまでセイコーマートばかり利用してきましたけど、
ローソンがあったので思わず吸い込まれました。
道東ツーリング_d0211129_13594126.jpg
斜里川の河口近くにあった
適当な空き地に設営。けっこう住宅が近いので
気が引けたものの、ほかに当てがあるわけでもないので
こっそりと。この時期、日が暮れてから
川岸を散歩する人もいないでしょう……。
道東ツーリング_d0211129_14024976.jpg
超お気に入り、ローソンのホルモン鍋。
野菜や豆腐をたっぷり追加して
もりもりいただきます。そしてとっとと寝ます。
この晩はマイナス6,5℃。昨晩の女満別に比べれば熱帯夜。
素手で食事ができるほどです。
マイナス10℃以下だと、幕内でもインナーグローブを
外せませんから……。
道東ツーリング_d0211129_14062692.jpg
4時には目が覚め、5時半には撤収完了。
ひとしれずキャンプ地を後にします。
道東ツーリング_d0211129_14080520.jpg
セイコーマートで補給食を
がっつり仕入れてから、国道244号の難所である
根北峠へ向かいます。
夏は知床峠に足が向くので、根北峠ははじめて。
標高は500mほどですが、お店などない区間が
50kmに及びます。
道東ツーリング_d0211129_14333299.png
4日目のルートはこんな感じ。
斜里から標津まで80kmほど。

ここまで走ってきた道は、基本的に
夏に走った経験がある道だけを選びました。
ですので、勾配の具合や補給可能施設の有無が
ほぼ確実にわかってます。
つまり、リスクを「冬」だけに絞ることができます。

しかし、知床峠なしで道東を一周しようとなると、
斜里〜標津の間を根北峠で越えるしかありません。
はじめての峠を冬に越える……寒さと緊張がまざった
身震いをしつつ、慎重に進みました。
セコマでは、万一、丸一日くらい停滞しても
耐えられるくらいの食べ物を仕入れました。
道東ツーリング_d0211129_14162518.jpg
雪に覆われ、なにもない景色のなかを淡々と。
もちろん木はあるし、雪に隠れてるだけで
牧草地なのかもしれませんが、人の気配があまりない
道がずっと続きます。
道東ツーリング_d0211129_14174836.jpg
なにもないなか、忽然と現れた無人販売店。
すでに廃墟ですが、人の息吹が感じられますw
道東ツーリング_d0211129_14190110.jpg
いい加減、雪道にも飽きた頃、
またしても忽然と、今度は巨大な人工物が現れました。
一瞬なんなのか理解できませんでしたが、
国鉄の未成線が残したアーチ橋です。
(ツーリングマップルに載ってた)
斜里と標津を結ぶべく戦時中に作られたものの、
物資不足で放棄されたとか。
一度も列車は走らず、壮大な無駄……
といってしまえばそれまでですが、
なにか崇高さを感じます。
橋が空中で途切れているため、
銀河鉄道999が飛び出しそうな気配もあります。
道を挟んだ反対側にもアーチひとつぶんだけ橋脚が残ってます。
国道を通す際に、その頭上部分だけ撤去したようです。
案内看板があったものの、雪が深くて
近づけないので、先へ進みました。
道東ツーリング_d0211129_14292036.jpg
朝がやたら早かったので、
10時前には根北峠に到着。
ふつう、上るとともに標高によって気温が低下しますが
時間経過による気温の上昇と相殺されたようで、
さほど寒くはありませんでした。

いあわせたバックカントリースキーヤーが
「がんばってるね〜。写真撮るよ」と声をかけてくれました。
峠には駐車スペースがあり、割と開放的でしたが
あいにくの雪曇りで眺望はなし。
道東ツーリング_d0211129_14422941.jpg
バラクラバを着用し、下りへ。
道東ツーリング_d0211129_14450126.jpg
ゆっくり慎重に……ですが、
あまりブレーキばかりかけてると
かえって挙動が乱れるので、なかば自転車任せで
ペダルとサドルにしっかり荷重しながら下りました。
レネゲードC2は安定性が高いので、
ずいぶんと助けられた印象です。
道東ツーリング_d0211129_14473574.jpg
標津の街が近づくと、
嘘のように空が晴れてきました。
気温もうなぎ昇り。
道東ツーリング_d0211129_14484120.jpg
かつては鉄道が伸びていた標津。
SLと転車台が保存されてます。
道東ツーリング_d0211129_14492279.jpg
ラーメン屋さんに飛び込んで昼食。
とても美味しかったのですが、店内が暑いこと暑いこと……。
効きすぎるほどの暖房が
北海道のスタンダードみたいです。
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北方領土館を見学。
知床半島の東側に出たので、
海の向こうには国後島が間近に見えます。
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建物も展示内容も、昭和50年代の開館から
変わってないと思えるほど古びていました。
それだけに、なにか胸に迫るものが……。
戦後75年経っても帰ってこないとは、
この施設を建てた人々は思いもしなかったことでしょう。
国の価値が領土の広さで決まるとは思いませんが、
ぶんどられたままでいいわけありません。
近年は中国が脅威とみられ、自衛隊などの
西方シフトが進んでいるようですが、
やはり根本的な脅威は北にあると
思わざるをえません。
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少し進んで、尾岱沼の道の駅。
こちらにも北方領土に関する展示がありました。
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テレビ望遠鏡があり、国後島がくっきり。
民家まで見える、と驚きましたが、それは
手前の野付半島かもしれません。
北方四島がぜんぶ帰ってきて、
択捉島や国後島の詳細なコースガイドが
ツーリングマップルに載る日を願ってやみません。
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この日は国後島が見える無人の浜でキャンプ。
国道をちょっと逸れれば、いくらでも野営適地が見つかります。
食料などは、尾岱沼のセコマで調達済み。
無事に根北峠を越え、ここまで来れたことで
深い安堵感に包まれました。
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セコマの冷凍棚に真ダラがあったので、
たっぷりの野菜と鍋に。
ほろ酔い加減で至福のひとととき。
気温はマイナス5℃あり、女満別の夜に比べたら
春のよう。しかし……
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ガスカートリッジやモバイルバッテリーの不調はいなめず、
ふところで十分に温めないと機能しません。
特にモバイルバッテリーは
「お前の実力(容量)はそんなものか!」と
しかりつけたいほどで、早くも電源の危機。
とはいえ、たぶんこうなるとは思っていたので
明日の夕刻には着くであろう根室市街の
民宿はチェック済み。
一軒目に電話したところ、初めての客は
素泊まりのみとのこと。うーん、せっかく根室まで行って、
宿でご飯をいただけないのは虚しい。
二軒目に電話すると、二食付きOKだったので予約。
これで先行きに不安なし。
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安心してシメのうどんまで楽しんでいたら、
シェルターがあっという間にスノーハレーションw
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5日目の朝を無事に迎えました。
無事であるだけでうれしいのが野良キャンの醍醐味?
気温はマイナス12℃まで下がってました。
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峠越えに備えた補給食が大量に余っているので、
朝からモグモグ食べました。
冷たいカステラも、熱いカフェオレに浸けると美味。
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ぽくぽく小さな足音が聞こえたので
シェルターから外をのぞいてみると
キツネと目が合いました。妙に毛並みが良くふくよかで、
ホタテでも食べてるのかと思われました。
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この日は根室まで70km少々の道のり。
前半はまっ平らですが、風蓮湖のあたりから
市街地までは緩やかな丘越えが続きます。
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走り出してほどなくすると、本別海。
いかにも地元資本といったコンビニ風のお店があったので
休憩がてら立ち寄ることに。
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食料品も一通りありましたが、
各種防寒具の品揃えが圧巻。写真はぜんぶグローブで、
テムレス以外は知らない銘柄ばかり。
網や網を縫う木針など漁具のたぐいもたくさん並んでいて
思わず興味津々で眺めていると、
来店していた漁師さんに声をかけられました。
「自転車? キャンプ? この人ホンモノだ〜」と
妙に盛り上がる漁師さんw
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「ホッキ貝もってきなよ」と、
ゴロンと大きな貝から身を取り出し、
5つも持たせてくれました。
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「いちばん暖かいグローブどれですか?」と尋ね、
教えてもらったグローブをレジに持って行こうとすると……

「俺がプレゼントするよ」
「いやいや悪いですよ、自分は遊んでるだけですから」
「本気で遊んでるのは大したもんだから。受け取って」

こんなバカっぽいツーリングをしてると
若く見られるのかもしれませんが、
もう50のオッサンですし、こうした好意に
甘える年頃でもありません。
しかし、ここまで言われて断るのも
逆に失礼かと思われたので、ありがたく頂戴しました。
大切にいたします。

「これしてっと、プロに見えるから」
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さっそく使ってみましたが、
本当に暖かい……。
いただいたモノの値段を言うのも無粋ですが、
自分が使ってる山岳登攀用グローブの
10分の1以下の価格ながら、
暖かさは匹敵します。ゴム製ゆえにしなやかで、
レバー操作などはこちらのほうがしやすいくらい。
少し蒸れやすい気もしましたが、
それも暖かさにつながってるようです。
いいものをいただきました。
被視認性が高い配色が実にプロっぽい。
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風蓮湖を迂回するように内陸へ進んでいくと、
奥行臼という駅の跡が現れました。
平成元年に廃止された標津線の駅です。
実に立派で味わい深く、20分くらい眺めてました。
これが夕方だったら、まちがいなく駅前で
野良キャンしてましたが、今日は民宿が待ってます。
名残惜しくも先へ。
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根室市街に入ると、妙に可愛い看板が……。
そこはF-35とか一〇式戦車とか「いずも」を描いて、
英語とロシア語を並記すべきでしょう。
我々への啓発が目的の看板だとは思いますが、
もう少し強気でいいんじゃないか……と思いました。
もちろん、F-35とか一〇式戦車とか「いずも」を
使えばいいと思ってるわけじゃないですよ。念のため。
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根室の駅前通り。
駅周辺が寂れている感は否めませんが、
国道沿いはなじみの「しまむら」など
大型店が多く、栄えてる印象もあります。
民宿には16時に着きますと伝えてましたが、
追い風に恵まれたこともあって、
15時半には着きました。
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ほぼ駅前に建つ「民宿えびすや」さん。
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寒さとは無縁の楽園。
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外じゃ心配ですよね、と中に自転車を入れてくれました。
ありがたいことです。
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自分と同年輩くらいの女将さんが迎えてくれました。
お嬢さんの影響で「鬼滅」にどハマりしてるそうです。
禰豆子、かわいいですよね」なんて会話ができて、
オタクには妙に居心地がいい宿です。
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そして夕食。
野宿を4日も重ねてきた身には
夢のようなごちそう。
これで二食付き6600円とは破格です。
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小ぶりながら花咲がにまで。
「茹でると花が咲いたように赤くなるから……」と
女将さんが由来を教えてくれました。
もちろん知ってましたが、現地で教えていただけることに
価値があるのでしょう。
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漁師さんにいただいたホッキ貝を
バター焼きと刺身にしていただきました。
幸せすぎる……。
キャンプと宿泊、どちらも素晴らしい。
むしろ相乗効果で互いが高まります。
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お部屋では乾燥と充電祭り。
日中の気温で付着した氷が解けたようで、
寝袋がすっかり湿ってました。
宿を取ってなかったら、悲惨な夜になったことでしょう……。
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必要にして十分な朝食。
ふだんは白いご飯を食べないのですが、宿の朝食だけは
三杯もいただきます。
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再訪を誓いつつ、出発。
アイヌのチャシ(見張りなどした砦)の跡などを見つつ、
納沙布岬をめざしました。
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旅も6日目となる1月11日。
根室半島をくるっと周り、
花咲線(根室本線の釧路より東)の駅などを
物色しながら75kmほど走りました。
いかに旅を終えるか考えながら……。

当初の予定では、釧路空港まで自走するつもりでしたが、
行程を刻んだので、とうてい無理。
そして、東京へのフライトは12日の午後。
幸いにも鉄道が伸びてますので、
どこか適当な駅まで走って釧路へ輪行し、
駅前のビジネスホテルに泊まるか……と
おぼろげに行く末を考えました。
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さくっと納沙布岬へ。
日本本土最東端であり、旅人がめざす聖地なのですが、
この日は一人もあたりにいませんでした。
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北方領土資料館で到達証明書をいただきました。
特に欲しがったわけではないのですが、
入館したら受付の方に渡されました。
ここは北方四島のあゆみにくわえ、
動植物など自然系の展示が充実してました。
証明書の背後でほえるトドは体重1トンとか。
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半島を時計回りに進んで、
東根室駅へ。さびしくて泣きたくなるような
日本最東端の駅です。
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線路に沿って西へ。
列車がすぎてもまるで動じることなく、馬が草を食んでます。
馬娘系ではなく、体格の良い輓馬です。

どこまで進もうか、ぼんやり考えながら……。
ぶっちゃけ、根室の宿での時間が幸せすぎて、
もう旅が終わった感があります。
釧路行きの終列車に乗れれば、
どの駅で輪行に移行してもいい。しかし、そう思うと、
次の駅も見てみたい気も起こり、
のんびり進んでいきます。
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駅、なくなってるし……。
線名の愛称にもなった駅が消えるとは、無情なものです。
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北海道名物、貨車駅が登場。もちろん無人駅。
昔の貨物列車には車掌車が最後尾についていて、
それが大量に不要になったので
駅舎として第二の人生を歩んでいるのです。
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こういう無人駅には、たいてい駅ノートが置いてあります。
ぱらぱらめるくと、可愛いイラストを見つけることもあり、
駅舎探訪の楽しみを増やしてくれます。

こんな調子で駅に立ち寄っていると
あっという間に日が暮れてきます。
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すっかり夜になった頃、別当賀駅に到着。
根室からわずか5駅、されど5駅。
周辺には人家の灯りが一軒しか見えず、
静寂そのものの貨車駅です。
旅を終えるにふさわしい駅でしょう。
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渋い……ちょっと寝てみたい。
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輪行準備を進めるものの、
さまざまな思いが去来して手が止まりがち。
感覚的にはまたたく間に時が過ぎてしまい……
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釧路行きの終列車が来てしまいました。
降りてきたのは、JRの職員さんと思われる方のみ。
JR北海道の資料によると、
別当賀駅の1日平均乗降人員は3人以下とか。
職員さんも勘定に入ってるのでしょうか……。

しかし、こんな写真を撮ってるくらいですから、
輪行支度が間に合わず、列車を見送ってしまいました。
これでもう、翌朝まで釧路行きの列車に乗れません。
仕方ないので、翌朝まで待つことにします。

正直に書けば、駅寝もいいかな……と思ってました。
きょうび、無人駅であろうと駅寝など禁じ手ですが、
列車を待つために駅舎で過ごすのは
どこまでも合法でしょう(たぶん)。
翌朝まで待つのですから、寝る時間帯もあるでしょう。

もちろん、終列車が出るまでは
寝袋を広げるなど我が物顔の振る舞いは避けねばなりません。
1日3人以下とはいえ、人が来るのです。
降りる人が駅舎に滞在することはないとはいえ、
別当賀駅から乗る人が早めに来て、
駅舎で待つことはありえるでしょう。
そこで根室行きの終列車(これが別当賀に止まる終列車)が
出る21時過ぎまで、まんじりともなく
駅舎で過ごしました。
退屈なようで意外と楽しく、駅ノートなどめくりながら
少しずつビールなど飲んでいると
あっという間に時間は経って行きました。

そして21時を過ぎ、いまかいまかと
列車の到来を待つものの……いっこうに来ません。
なんだか吹雪いてきたので遅延かな、と思いつつ、
これくらいの雪で北海道の鉄道が
負けるもんかとも思いました。
宿の女将さんも
「雨で止まることはあっても、雪は大丈夫」と
太鼓判を押していた花咲線です。

しかし列車は来ないので、スマホで
JR北海道の運行情報を見てみると……

「暴風雪のため、12日18時まで全列車運休」

とあるではないですか。
なんと、見逃してしまった釧路行きが、
正真正銘の終列車だったわけです。
もはや仕方ありません。
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もう寝るしかないじゃん。

期せずして、いや、半ば期待して、
30年ぶりの駅寝。
列車飲みに備えて、少々のお酒とつまみは持っていたので、
かなり幸せな一夜をすごせます。
さすがに駅舎のなかは暖かく、
外はゴーゴー吹雪いていても中は0℃ほど。
北海道への想いを絶ち難いサイクリストに
神様が与えてくれた時間かもしれません。

とはいえ、朝まではともかく、明日の18時までどうしたものか……
ぼんやり考えながら、寝袋に入ったのでした。
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明け方の我が別当賀駅。
レールとホームの区別がつかないほど雪がつもりましたが
貨車駅は健在です。
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次第に天候は回復し、道を除雪車が行き交います。
一方、鉄道のほうは除雪車が来ず、雪に埋もれたまま……。
もうどのみち予約したフライトには間に合わないと思いつつ、
そちらの運航情報をスマホで確認すると、なんと欠航……。
格安航空会社ピーチのチケットだったのですが、
欠航の場合は払い戻しできるので、かえってラッキー……。
しかし、ピーチの場合、振替え便が事実上ないので、
あらためてフライトを手配する必要があります。

むしろ、当面の問題は、列車が来るまで
いかにして待つか、ということです。
昨晩に確認したところ、運行再開は18時……長い。
ふと、あらめてJR北海道の運行情報を確かめると
12日の花咲線は、根室行きの終列車をのぞいて
「全休」とのこと……。
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来ない列車を待っていても仕方ありません。
再び自転車を組み立て、もう走ることはないと思っていた
北の大地に降り立ちます。

そもそも、無補給で無人駅で連泊とか
無理ゲーすぎます。
次の厚床駅まで距離16kmを走れば、周辺にはコンビニがあります。
そこで補給し、厚床駅でもう一泊して列車を待つのが
最適解かと思われました。
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スノーシェルターが連続する道々を
進んでいきます。まだ北海道を走れることに体が歓喜し、
来る釧路までの鉄道旅情に期待が高まります。
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厚床のセイコーマート。やはり尊い。
厚床は意外と都会で、実はセブンイレブンもあるのですが、
やはりセコマの尊さにはかないません。
これで何日だって駅寝できます。
もう現実には戻れない気もします。
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今宵を過ごすであろう厚床駅を下見。
無人駅ですが駅舎はモダンで大きく
駅寝にはそぐわない気もしますが、仕方ありません。
列車を待つためですから……。
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しばらくすると、ラッセル車がやってきました。
これなら明日は必ず運行再開するでしょう。
がんばれ、がんばれ〜。
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することもないので駅舎を物色してると、
バスの路線図がありました。
すると、中標津空港行きという存在が……。
鉄道が運休するのに、空港バスは走るのか?
まさかとは思いながら、バス事業者の根室交通に電話してみると、
朝イチ便は運休したが、もう動いてるとのこと。

次なる疑念は、釧路空港が欠航してるのに
中標津空港からヒコーキが飛ぶのか? ということ。
これもまさかと思いながらANAに電話してみると
(中標津空港はANAしか就航してない)

「飛びます。羽田行き? 十分に空席があります」
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JR北海道、すまん。ラッセル車よ、すまん。
俺はバスで中標津空港へ行くよ。

結果として別当賀駅でタダ寝したことになり、
返す言葉もございません。わざとじゃないんです。
また乗りに来ますから
どうかかんべんしてください……。
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こうして中標津空港へのワープに成功し、
あっという間に東京へ帰ったのでした。

予定外のことばかり起きたけれど、
むしろ最高に楽しかった一週間でした。
終わり良ければすべて良し、かな。




# by cyclotourist | 2022-01-15 17:46 | おしらせ | Comments(0)

四国の旅 23日目 観音寺〜高松(最終回)

四国の旅23日目、11月8日です。
当初はここまで長くなるとは思いませんでしたが、
ついに最終日を迎えました。
四国の旅 23日目 観音寺〜高松(最終回)_d0211129_16083913.jpg
旅装を整えて、一の宮公園を後にします。
四泊もさせていただき、感謝の念にたえません。
四国の旅 23日目 観音寺〜高松(最終回)_d0211129_16092210.png
瀬戸大橋を見に行き、五色台の海岸線を
回ったあたりを除けば、
ほとんど一目散に高松駅を目指しました。
走行距離は88kmで、大した坂もありません。
ただ、中盤から強めの向かい風に見舞われ、
まだ四国に居ろと、押しとどめられてるようでした。
四国の旅 23日目 観音寺〜高松(最終回)_d0211129_16122460.jpg
四国の旅 23日目 観音寺〜高松(最終回)_d0211129_16123259.jpg
公園の一画に、船舶兵の
留魂像がありました。
かつて豊浜に陸軍船舶幹部候補生が駐屯し、
激戦に身を投じたと……今は平和な
瀬戸内で鎮魂を祈念しています。
四国の旅 23日目 観音寺〜高松(最終回)_d0211129_16175446.jpg
ありがとう観音寺。
四国の旅 23日目 観音寺〜高松(最終回)_d0211129_16181249.jpg
ありがとう勇者。
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一路、高松へ。
四国の旅 23日目 観音寺〜高松(最終回)_d0211129_16185352.jpg
10kmほど北上すると、
夕映えのスポットとして全国的に
知られるようになった父母ヶ浜(ちちぶがはま)。
しかし、午前中の曇天では
バエようはずもありません。
四国の旅 23日目 観音寺〜高松(最終回)_d0211129_16205415.jpg
ローソンで補給。
メープルチュロッキーなる菓子パンがお気に入り。
四国の旅 23日目 観音寺〜高松(最終回)_d0211129_16215330.jpg
アウターへのフロント変速が
しづらくなってきたので調整。
伊方から先はインナーギヤはいらんと
豪語してましたが、時々使ってます(汗)。
最近のフロントディレイラーはアーレンキー対応になり、
調整しやすくなりました。
四国の旅 23日目 観音寺〜高松(最終回)_d0211129_16231291.jpg
津嶋神社の例大祭の時だけ列車が止まる
津島ノ宮駅。
神社と駅で表記が違いますね。
四国の旅 23日目 観音寺〜高松(最終回)_d0211129_16242054.jpg
国道は交通量が一段と多そうなので、
予讃線に沿った県道を進みます。
四国の旅 23日目 観音寺〜高松(最終回)_d0211129_16255788.jpg
10時過ぎには丸亀に到着。
丸亀城の石垣は何度見ても圧倒されますが、
それだけに登る気になれません(汗)。
四国の旅 23日目 観音寺〜高松(最終回)_d0211129_16270837.jpg
丸亀の船溜まりに立つ灯篭。
かつて、金比羅参拝の上陸地として栄えた地です。
このあたりも、ゆゆゆ三期で登場してますね。
四国の旅 23日目 観音寺〜高松(最終回)_d0211129_16285521.jpg
宇多津のゴールドタワー。
上ろうと思ってましたが、
展望階は「天空のアクアリウム」なる
おしゃれな水族館になってるようで、
場違い感を覚えたので見上げるだけに。
昨日、模型店で散財したこともあり、
入場料1200円を惜しんだのも事実(汗)。
四国の旅 23日目 観音寺〜高松(最終回)_d0211129_16324483.jpg
威容を誇る瀬戸大橋。
陸上部分も圧巻のスケール。
四国の旅 23日目 観音寺〜高松(最終回)_d0211129_16333638.jpg
瀬戸大橋記念公園のマリンドーム。
遠足の小学生が楽しそうにお昼をいただいており、
ふと涙ぐみます。
四国の旅 23日目 観音寺〜高松(最終回)_d0211129_16364968.jpg
沙弥島園地から望む瀬戸大橋。
ここが一番のビュースポットなのは
間違いありません。
数時間後には列車で渡ることを思うと、
感慨深いものがあります。
沙弥島園地は坂出市に許可を取れば
キャンプもできそうなので(希望的観測)、
いずれは実現したいと思います。
四国の旅 23日目 観音寺〜高松(最終回)_d0211129_16372904.jpg
五色台を回る県道には、
過去最多レベルのスミ跡が……。
海を覗き込むと、いかにもアオリイカが潜んでそうな
浅い岩場。エギを放り込みたくなりますが、
万一にも釣れてしまったら、
生イカを持って列車に長時間乗ることになります。
それもどうかと思われるので、見送りました。
また来ればいい。
四国の旅 23日目 観音寺〜高松(最終回)_d0211129_16410514.jpg
15時過ぎには高松駅に着いてしまいました。
着いてしまった……というのが偽らざる感想。
1600km走って四国一周したことになりますが、
達成感よりも、旅が終わることの寂しさを感じました。
うっかりすると二周目へ向かいかねないので、
気が変わらないうちに輪行。
レネゲードC2も、おつかれさまでした。
ツーリング車としての任を完璧に果たしてくれました。
四国の旅 23日目 観音寺〜高松(最終回)_d0211129_16432825.jpg
輪行だけは早いです。
シートパックとフォークラックのテントを外し、
テントは携帯リュックに入れて背負います。
フォークにテントを付けたままでも
縦型の輪行袋なら収まるのですが、
担いだ時に重いので分散。
リュックには、列車内で使いそうなモバイルバッテリーや
メモ帳なども移しておきます。
フロントバッグとフレームバッグは
自転車に付けたまま。
後者はフレームカバーも兼ねてくれます。
これで、右肩に輪行袋、背中にリュック、そして左手で
シートパックを持って改札へ進みます。
四国の旅 23日目 観音寺〜高松(最終回)_d0211129_16475308.jpg
ついに改札を通ってしまいました。
ホーム内の海峡うどんでシメの一杯と考えていましたが、
営業時間が短縮されて閉まってました。
高松駅への到着がもっともっと遅くなったら、
寝台特急を奮発しようかと思ってましたが
(カード払いで)
思いのほか早く着いてしまったので
快速に乗り、岡山で新幹線に乗り換えて帰京します。
四国の旅 23日目 観音寺〜高松(最終回)_d0211129_16492422.jpg
瀬戸大橋を進む快速列車。
軌道が広く、新幹線にも対応していることがわかります。

さらば、四国。
たくさんの思い出をありがとう。
もう少しイカが釣れるとよかったんだけど、
腕を磨いて出直そう。
春になったら四国を再訪し、
大きく育ったイカを釣りたいな……。

以上。終わり。



# by cyclotourist | 2021-11-16 17:03 | おしらせ | Comments(0)