距離600kmで獲得標高1万m以上という
パーマネントブルベ「SR600」に挑むも、
約180km地点で通行止めの報に接した田村。
当日の上州、信州は北風が吹き込み、
4月中旬の寒さに見舞われたのだった……。
(以上、前回までのあらすじ)

東京最西部の高尾から北上し、
文字どおり最大の山場である渋峠に
アプローチ。いよいよ正念場と思いきや、
長野原で渋峠通行止めの報に接しました。
DNF(リタイア)を決意するものの、
残念だなあとか、ほっとしている余裕はありません。
どこへ撤退するかを考えねばなりません。
長野原はJR吾妻線が通っているので、
輪行袋さえあれば、高崎経由でピューッと
自宅の最寄り駅までワープできます。
しかし、輪行袋一式461gの重さをきらって、
今回は置いてきてしまったのです。こんな時に
限ってDNFなんですね……。くう。
ちなみに「ゴミ袋輪行」は禁止です。
実は僕もやったことがありますが、
最近はおりからの自転車人気の高まりの副産物か、
マナーがよろしくない輪行サイクリストが
散見されるようです。
「専用の袋に収納」という規則がある以上、
どんな理由があっても、輪行袋なしでの
輪行は慎むべきでしょう……と思います。
となると、残された手段は……レンタカー?
運転免許ないし(汗)。
だれか呼んで来てもらう?
そんな人徳、人脈はありません(泣)。
消去法でも積極策でも、
トーエイ号で上田まで走るのが
いちばんの上策でしょう。
上田には仮眠用のホテルを事前に予約してあり、
そこに着替えなどの荷物を送ってあるのです。
幸い、周辺の地図は持っていたので
(『ツーリングマップル』のコピー)
長野原から信州・上田へ向かう道を確かめます。
長野原から上田までは
国道144号線が通っています。重くなりそうな腰を上げて
西へ向かって再スタートしたのは17時。

上田までの距離は45km。間には標高1360mほどの
鳥居峠がありますが、渋峠に比べたら
可愛いものでしょう。峠を越えれば下りだし、
ハブダイナモとEL540があるので
ナイトランもどんとこい……と思ってたのです。

峠に着いたのは19時前。
再スタートしてすぐにコンビニに寄ったり、
もはやモチベーションは下がる一方なので、
思いのほか時間がかかりました。
そして日が没すると急速に
冷えてきました。鳥居峠でマイナス2度。
日中は20度あったのに……。
この時期の峠越えをなめてました。
ありったけの防寒ウェアを着込んだものの、
下り出すと風が痛いほど冷たく感じられ、
体全体が激しく震えるようになって
ハンドルをまっすぐ保持するのも危ういほど。
1月の静岡ブルベでは快適さを保てたウェアリングでしたが、
この日の信州、夜間、しかも峠の下りという条件下では
まったく役不足でした。なにはともあれ、
輪行袋は省いても、ウェアは省かないで
よかったです。
輪行できなくても死にはしませんが、
ウェアをケチると死ぬこともあるだろうなあと、
己の不幸中の幸いを感じました。

10kmほど下ったところで
バス停を発見、しばし休ませていただきました。
風がないだけで、体感気温は急上昇。
20分ほど滞在し、指と爪先の感覚を取り戻します。
なんとか上田のホテルに滑り込んだのは
20時半くらい。かなりしんどいダウンヒルでした。
ひるがえって考えると、鳥居峠でこのありさまですから、
もし渋峠を越えていたとしたら、志賀高原あたりで遭難か、
よくてもロッジに駆け込むなどの悲劇が
容易に予想されます。通行止めでよかったです。マジで。

ホテルのベッドに、着ていた防寒アイテムを
並べてみました。
長袖、フルレングスの秋冬用ジャージを着た上に、
これだけのアイテムと上下レインウェアを重ね着しても
ガクガクブルブルだったのです……。
ほんと、信州なめてました。
もうしわけありません。
もし5月にSR600を走ろうという方や、
信州方面にお出かけの予定がある方は、
くれぐれも天気予報や装備に
ご注意ください。反面教師からのお願いです。
さて、上田で予定どおり(?)一泊し、
翌日は上田→東京を自走で帰りました。
だって、輪行袋ないから(汗)。
SR600はパーマネント(常設)です。
通行止めでなければいつでも走れます。
完走できるまで何度でも
走ってみようと思います!