こんにちは、田村です。
さる11月13日から19日にかけて、
長崎へ出かけてきました。
9月23日に開業してから、いつ「かもめ」に乗ろうか、
タイミングを見計らってました。
もちろん、サイクリングではない旅は
自分にとって考えづらいので、
輪行でのアクセス手段として利用します。
「かもめ」は佐賀県の武生と長崎県の長崎市を結んでますので、
必然的に長崎サイクリングとなるわけです。
恥ずかしながら、長崎県の位置とカタチを
正確にイメージできません。
あらためて見ると、なんとも複雑で島が多いこと……。
数え切れないほど九州を訪れてきましたが、
長崎県をメインにしたプランニングは
実のところ初めてだったりします。
一足飛びに対馬へ行ったり、
佐賀を走る「ついで」に長崎県内を走ったり、
いちどだけブルベでも長崎県内を走ったことはありましたが、
実質的に初めてといって過言ではないほど
長崎県とは縁がありませんでした。
「坂」というイメージもありますし、
本能的に避けていた感すらあります。
あらためて長崎県の地図を
眺めてみると、本土だけでも
異様に複雑怪奇なシルエットです。
半島に次ぐ半島で、
それらがイカやタコの足のように
くねりながら伸びています。
なお、画像はグーグルから拝借してますが、
実際のプランニング時は「ツーリングマップル」と
Ride with GPSを利用してます。
長崎県の地形的な複雑さは、
長崎県のホームページにおける「長崎県のすがた」という
記述が明快なので、以下に引用させていただきます。
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本県は、九州の西北部に位置し、東西213km、南北307kmにおよぶ県域である。その中の陸地(総面積4,105.47km2、平成23年10月1日現在)は平坦地に乏しく、いたるところに山岳、丘陵が起伏し、海岸線は多くの半島、岬と湾、入江から形成されており、海岸線の延長は4,184km(平成24年3月31日現在)におよび、北海道につぎ全国第二位(北方四島を除くと第一位)の長さを示している。
東は島原半島が突出し、有明海を隔てて熊本県、福岡県と相接し、南は長崎半島が天草灘に望み、西海上には五島列島が、西北海上には壱岐、対馬があり、朝鮮海峡のかなたに韓国を望んでいる。
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北方四島を除くと北海道より海岸線が長い、
というのが凄まじいじゃないですか。
ちなみに、長崎県の面積は47都道府県中、37位です。
たいして広くないのに海岸線が異常に長い。
複雑というより、もはや支離滅裂な地形ですが、
自分の思考もほとんど支離滅裂なので、
「一周してみたい」と思ってしまいました。
もちろん車道を走るので、一周っぽいルートを作っても
4000kmもの距離にはなりません。
しかし、決して短くもなく、長崎駅を起点にして、
島原半島、長崎半島、西彼杵半島、北松浦半島へと
おおむね時計回りに走っていくと、
1日100km以上走っても
一週間はかかります。
実のところ、しばらく前から計画を温めていて、
妻には折に触れて
「俺、今の仕事が終わったら長崎行くんだ……」と
言い続けていたので、なんとなく
一週間くらいは家を空けてもいい雰囲気を
醸成していたのです。
いざ、長崎へ。
関東からの九州入りは、ほとんどの人が
ヒコーキを利用すると思いますが、
ここはあえての新幹線しばり。
距離を考えれば納得できます。
LCCが安すぎるんですよ。
ちなみに、西九州新幹線の乗車時間はわずか30分弱、
それに対して東海道山陽新幹線には5時間も乗るという(笑)。
ぼっち旅なのでやりたいほうだいです。
一週間分のルートは作成済みでハンディGPSに入れてありますが、
宿は初日と二日目しか予約してません。
まあなんとかなるでしょう。
ちなみに、今回はキャンプと釣りは封印。
あまりに土地勘ないので、走りの軽快さを
優先しました。これが吉と出るか凶と出るか……。
お昼少し前に博多駅に到着。
新大阪より先まで乗ることは滅多にないので、
飽きずにそれなりに楽しめました。
そして、「リレーつばめ」への乗り換え時間は7分。
在来線ホームがそれなりに遠く、
着いたら発車間際。お弁当を買い損ねました。
九州新幹線が部分開業だった時も
リレー号として活躍していた特急ですね。
これで「かもめ」が待つ武雄温泉駅へ。
乗車時間は1時間ほど。
さすがに老朽化が目立つ車両ですが、
JR九州らしい「旅感」は健在。
乗車率は2、3割で空いてました。
お腹も空いてきました……。
真新しい武雄温泉駅では、同じホームの対面で
「かもめ」が待機中。乗り換え時間わずか3分。
親子連れが記念撮影に興じていて、
気持ちは激しくわかるけれど、
早くどいてと言いたい。
それにしても、カラーリングが異なるだけで
N700Sもずいぶん印象が変わるもんですね。
木の香りが漂う車内。
当然ながら綺麗で気持ちがよいものです。
輪行袋の定位置は、東海道・山陽新幹線と同じように
「特大荷物スペースつき座席」となっているので、
そこの指定券を取っておきました。
こちらも乗客は少なく、ちょっと拍子抜け。
もちろん、乗り物は空いてるほうが快適なのですが、
先行きがやや心配な新幹線ではあります。
わずか28分で長崎駅に到着。
全体にトンネルが多かったですが、新大村駅の前後では
海を望める区間もありました。
文字どおりあっという間で、車内販売もなし。
装いを一新した長崎駅では、
お土産ショップと食事処が連なる
こちらはずいぶんと人が多くて賑わってました。
が、ぼっち好きなのでそそくさと外へ。
「弱ぺ」とコラボ中の長崎駅。
原作者さんが長崎出身でしたね。
14時前には輪行を解除して走り出しました。
いい加減にお腹空いたので、まずはご当地グルメw
かきちゃんぽん。美味しかったです。
初日の走行ルートはこんな感じ。
長崎駅を起点に、反時計回りに長崎港まわりを
周遊する距離23kmほどのショートコース。
駅の対岸に渡ると三菱通り。
三菱重工の造船所が現れます。
100年以上も稼働しているジャイアントカンチレバークレーン。
その脇では護衛艦「もがみ」型が艤装中。
戦艦武蔵を作ったという船台のあたり。
建物やフェンスにさえぎられてよく見えませんが、
こちらにも「もがみ」型がいるようです。
となりのドックでは、整備中のイージス艦「こんごう」と、
3隻目の「もがみ」型が鎮座。
山がすぐ迫る地形ゆえに
道がドックより高いところにあり、
まさに丸見え……。
戦艦武蔵を建造した際、防諜に苦心したという
エピソードが納得できる景観です。
こんな様子が拝めただけで、
長崎に来た甲斐あるなーと、うきうきですよ。
しかし地形が複雑なこと……。
ちょっと脇道にそれると、すぐに階段です。
長崎港の出口に架かる女神大橋へ。
有料道路ですが、自転車は無料。
地図を見たときはアプローチがよくわかりませんでしたが、
現地に行けば案内が親切で問題なし。
桁下65mという高さから
長崎港と市街を一望できる女神大橋。
なかなかの絶景です。長さは1200mもありますが、
散歩している人もちらほら。
両側に広めの自転車歩行者道があるので、
こわくありません。
見事な斜張橋。
橋を降りて市街へ戻っていくと、
古風なスロープが伸びる小菅修船場跡。
明治元年に完成したという、初の洋式船架だそうです。
いちおう行っときますか、くらいの
気持ちでグラバー園をめざすと、
容赦のない急坂が出迎えてくれます。
いちおう見ておきました。
さすがに来園者が多かったですよ。
グラバー園からも護衛艦がよく見えました。
隠すもんでもないでしょう。
石畳の細道をなりゆきで進んでいくと、
神社、お寺、教会の三つが
勢ぞろいする地点がありました。
中華街も近く、さすがの多様性?
階段……
斜行エレベーター。
東京や京都と違って、自転車で
観光している人は皆無です。
配達員も見かけませんね。
路面電車が走る街は
無条件にいいね。
有名なオランダ坂。
ここも勾配20%。石畳だとよけいに険しく感じられ、
とっとと降りて押しました。
異国情緒は抜群。
出島。
埋め立て地が広がって、もはや島ではありません。
眼鏡橋。
川や海沿いは平坦。
近代的な金属活字も
長崎が発祥の地です。
もはや喩えとして存在するだけのような「活字」ですが
活字で印刷された本は微妙な凹凸や
文字の太りがあって好きでしたね。
路面電車が行き交う目抜き通りを北上。
宿をとったのは、長崎駅の隣の浦上駅あたり。
駐車場が狭くて駐輪ダメ、
袋に入れないと持ち込みだめ、という微妙な
ビジネスホテルでしたが、まあ寝れればOKですわ。
こうして初日は終了。
ふだんはしない「観光」も、たまには
いいものですね。
翌日は、6時半には宿を出ました。
長崎の街を後にする前に、平和公園へ。
平和を祈る気持ちとともに、
誰が原爆を落としたのかを考えざるをえません。
「惨禍を再現せしめてはならない」とは
落とした相手に対して言うべきだと思うのです。
………………
いよいよサイクリングの始まり。
めくるめく半島ツーリングなのです。
以下、あらためて。