こんにちは、田村です。
半月前に決行した、
SAGAキャンプツーリングの続きでございます。二日目の午後、
アニメの舞台が集中する唐津市外を後にして
波戸岬のキャンプ場を目指して走り出すと……
猛烈な雨に遭遇。
レインウエアは上から下まで一式用意していたものの、
それらを着てまで走り続ける必要もない行程なので、
しばし雨宿り。スマホで雨雲レーダーを見ると、
30分もせずに通り過ぎそうなので、
適当な軒下で待機。
小雨になったら移動開始。
17時前には波戸岬キャンプ場に滑り込み、
見晴らしのよいサイトに設営。
この天気なので視界は広がりませんが、
海を見下ろす絶好のロケーションでした。
少し手前に、呼子というイカ刺しで有名な港町が
あったのですが、スーパーで買い出ししただけで
スルーしちゃいました。
この日も肉を買ったのですが、
焼くだけの調理も飽きるので、
すき焼きのタレを買い、それを沸かして
なんちゃってしゃぶしゃぶ風にして
いただきました。味が濃いので、
ビールのツマミには合います。
この晩には、アニメ「ゾンビランドサガ」の
最終話がネットTVで放送されたので、
テントの中でしっかり視聴しました。
唐津が舞台のアニメ、しかも最終話を
唐津(波戸岬も唐津市)で見るという、
この旅における最大の目的を達成しました。なかなか酔狂な行為だとは思いますが、
スマホのおかげで可能になった
モダンなキャンプだとは思います(笑)。
その最終話は期待以上に感動させてくれ、
満ち足りた気分で寝入ることができました。
三日目の朝も小雨がぱらつく
生憎の天候が続きました。テントを乾かすこともできずに収納し、この日は70kmほど南の有田を目指します。
名護屋城跡を見学。
壮大な石垣が残っています。
秀吉の朝鮮出兵における基地になった城です。
石垣を見る限り、大坂城や江戸城をも超える
規模の大きさに驚きました。
周辺の複雑で狭隘な地形のなかには、
全国から参集した武将たちの陣屋跡が
点在し、さながら「信長の野望」の最終盤を
思わせました。盛岡とか津軽からも参陣していて、
天下人の力って凄いんだなと実感。
玄海町に入って、原発もある海外沿いを
淡々と南下。西伊豆のようにアップダウンが多くて
ペースは上がりませんでしたが、途中には
見事な棚田があったりして、飽きないエリアです。
伊万里まで進んだところで、
本日のメインステージに到着。
「ドライブイン鳥」です。
例のアニメでひと際印象的だったお店なので、
ぜひとも寄りたかったのです。
このへんに土地勘がある人には有名な店のようで、
「“ドラ鳥”か〜。ほんと、ただのドライブインだよ(笑)」って
位置付けの気取らない店らしいですが、僕にとっては
夢にまでみたい舞台なのであります。
ちょうどお昼時で、駐車場にクルマも多かったので
待たされるかと思いきや、
すぐに席へ通してもらうことができました。
一人でもこんな席。渋い。
人気の「一番定食」をいただきます。
佐賀で焼肉と言えば鳥、らしいです。
定食とは言え、自分で網焼きするのがワイルド。
タレで食べても塩をふっても美味。
鳥飯とスープも絶妙な味わい。
まったく観光客向けではなく、
ガテン系と思われるお兄さんたちや
お子さん連れのご婦人が続々と来店してました。
仲間と一緒に訪れて、宴会でもしたら楽しそう。
この時ばかりは、ビールが飲めないサイクリング中であることが
少し恨めしく思えましたよ。
たぶん、今ごろは最終回を見て盛り上がった
オタクたちでますます繁盛しているのではないでしょうか。
すっかり満たされて伊万里の市街へ。
地方都市の宿命なのか、国道沿いは店が多くても、
駅近の中心部は寂れた印象が拭えません。
そんな中、コインランドリーを見つけたので洗濯開始。
いつも着替えはワンセットしか持たないので
(バッグに入らない)
3日目になると洗濯必須です。
所要小一時間と500〜600円必要ですが、
それで一番かさ張る荷物である着替えを減らせるので、
効率がよいとも思います。
洗濯待ち中、少し街を歩いてみましたが、
特に気をそそられる対象もなかったので、
早めに戻って洗濯完了を待ってました。
すると、居合わせた見るからにヒマそうで
おしゃべりなご婦人から質問攻め……。
例の脱獄囚がらみの懸念を一番恐れてましたが、
さすがにそれはなく、でも、なんで一人で
ブラブラしてるのか? が気になるようです。
「ゾンビランドサガにハマって……」などと
説明するのも野暮なので、
「ちょっと仕事がヒマになったので気分転換に……」
なんて適当に答えていたら、それはそれで
疑念を招いたようで「彼女おらんの?」なんて
聞かれる始末(汗)。
「彼女どころか、妻子がいますよ」と答えたら
「それで一人で遊んでるんかい? どぎゃんこと?」と
ますます突っ込まれてしまいました。
世の中の常識的には、妻子持ちのオッサンが
一人で自転車旅してるなんて理解不能なんだな〜と
痛感してしまいましたよ。
三日目のキャンプ場は、有田町の龍門キャンプ場。磁器の街からダム湖へ上り、ひときわ深閑とした山中にあります。
ちょうど16時に到着。
今回、どのキャンプ場も利用者は自分一人で貸し切り状態。
自分が到着するまで管理人さんが待っていたので、
なんだか申し訳ない気持ちにもなりながら、
ありがたく利用させていただきました。
ちなみに、このようにサイトが区切られているキャンプ場だと
自立式のテントじゃないと張りにくいので、
今回はツエルトにしなくてよかったゼと胸を撫で下ろしました。
毎晩、雨が降りましたし……。
さすがに牛肉も飽きてきたので、
ネギとしめじ、お豆腐が多めの鳥鍋にしました。
小さなクッカーと100円ショップの固形燃料でも、
自分ひとりなら必要にして十分。
特に固形燃料は現地で調達しやすく、
かさばらず(使えば消滅する)、安いので
理想的な燃料です。
ただし、仲間とわいわいやりながら
次から次にツマミを焼くような宴会になると、
火力・持続時間の双方でガスバーナーが
いいなあとは思います。
明けていよいよ最終日。
磁器のお店が並ぶ有田ですが、
そちらに詳しくないので通り過ぎるのみ。
朝方なので営業前でもありますし。
一歩裏道に入ると、一層すてきな街並。
この日は嬉野を経て距離70kmを走り
14時までに空港に着かないとならないので、
少し気は焦ります。
佐賀県は平坦、というイメージもありましたが、
内陸部はそれなりにアップダウン。
高い峠は今回のコースにないものの、
変化に富んでいて新鮮。
気に入ったエリアを何度も走るのも悪くないですが、
始めて走るエリアはやはりワクワクするものです。
嬉野温泉です。
満喫。
ディズニーランドなど足下にも及ばないようなリアルさ。
現実の風景だから当然なのですが(笑)、
なにかこう、自分だけが楽しめるスペシャルな
アトラクションのようにも感じます。
二次元の世界を三次元の現実で追体験できる……
これが舞台めぐりの醍醐味でしょう。
しかも、最終日にして、ようやく晴れてきましたよ。
この日は土曜日だったこともあって、
佐賀で始めて同好の士、つまり舞台めぐりを
してると思しきお兄ちゃんを数人見かけました。
足湯と観光案内所には「ゾンビ」のポスターもありましたが、
それだけ。あまりにもダークホース的なアニメだったので
(そりゃまあ、ゾンビだし、佐賀だし……)
自治体もその魅力を活かす準備ができてないように思えます。
しかし、うわさでは秋アニメの覇権とったようですし(!?)
フランシュシュの声優さんたちは
佐賀県PR大使に任命されたそうですし、
これから全国から続々と好き者たちが
集まってくるのではないでしょうか。
嬉野の温泉街を離れると、
真っ新な高架を見かけました。長崎新幹線でしょうか。
これが開通すれば、関東から陸路で
佐賀を訪れるのも現実的になるかも。
山間部を抜けたら、平野を
淡々と空港めざして走ります。
沿道ではレンコンの収穫が行われていたりして
どこか茨城あたりを思わせます。
時間に余裕をもって佐賀空港に到着。
空港公園に展示されているYS-11を眺めた後、
自転車を袋にしまってサイクリング終了です。
空港にもひっそりと(?)
「ゾンビランドサガ」のポスターが掲示されてました。
今回、三泊四日も家を留守にしたとはいえ、
見所が多い上に佐賀県内の広域に点在していたので、
駆け足気味になってしまったのが
少々心残りではあります。
それでも、大好きなキャンプ泊を楽しみながら
主要な舞台をめぐることができ、
大きな充実感を得ることができました。
今度は仲間も誘って(来てくれるかは別にして)
賑やかに再訪したいところです。
最後に、冬のキャンプは悪くない! と声を大にして
言っておきたいと思います。
寝袋などの防寒装備さえ気温に合っていれば、
夏よりも快適で清潔感のあるキャンプが楽しめます。
また、自転車それ自体もそうですが、せっかく用意した
道具の数々を、シーズン限定でしか使わないなんて
もったいないですよ〜。