こんにちは、田村です。
今年の梅雨はよく雨が降りますね。
サイクリング的にはもどかしいですが、
涼しい分、部屋にこもっての
模型趣味には悪くないですね。
湿度が高い日は、塗装には向かないのですが、
いまは複製作業の真っ最中なので、
あんまり問題ないのです。
フィギュア作り、特にワンフェスとか
イベントに出るようになると、欠かせない工程が
複製作業です。
ひとつだけ作ったフィギュアを、
シリコンゴムで型取りして、レジンキャストを
注ぎ込んで量産するのです。
しかし、この複製作業、自分の場合は
半年に一度のワンフェスの前しか、やる機会がありません。
そのワンフェスも次回でまだ三度目の参加なので、
複製スキルがなかなか向上しません。
というか、半年に一度しかしないので、
前回の教訓とか反省とか忘れちゃうんですよね(汗)。
そこで、自分のための備忘録として、
今回の大淀さん複製工程を記しておきます。
サイクリング仲間からは、「複製ってナニ?」と
聞かれることもあるので、ご興味ある方は
ご覧下さいませ。

苦節数ヶ月、なんとか
カタチになった大淀さんの部品です。
けっきょく50点以上になり、
5つくらいの型に分けることにしました。
作業スペースや効率的に、
ひとつの型をあんまり大きくできないのです。

まず、油粘土を平らに伸ばします。
A4の雑誌(CSとかBCとか…)を台にすると、
移動させる時に便利です。
伸ばすには擂り粉木棒を使います。
去年、台所からかっぱらって使ったら
ひどく怒られたので、粘土用に買いました。
ちなみに、粘土は去年から使ってるもので、
そのままだと固いです。ですので、
レンジで40秒くらいあっためると、
伸ばしやすくなって楽になりました。もちろん、
粘土をレンジに入れるとか、やばい気もしますので、
自己責任ですよ。

油粘土に部品を埋めていきます。
この配置とか、レジン樹脂の流れ口を
どう通らせるかとかが重要です。
あと、四辺に余裕を持たせるのも大事ですね。
今回も、少しケチッたせいで、あとの複製作業で
型がやぶれそうになったりして苦戦中です(汗)。
色付きのブロックは、シリコンゴムを流す際の
壁になるのです。

髪とか、うねった形の部品は、
埋めるのがけっこう大変。最大幅のところで
埋めないと、型から外せなくなります。
ですので、埋め方はもちろん、部品自体の
作り方や分割状態が大切なんですね。難しいっす。

粘土に埋め終わり、
シリコンゴムを流す準備ができた状態。
レジンの流し口はもちろん、各部品から空気を抜くための
通路も、針金などを埋めて設けておきます。
この通路(ゲート)は、型ができたあとに
カッターや彫刻刀で切り開くことも可能ですが、
型を作る段階で、設けておいたほうが
レジンが流れやすい型が作れると思います。

シリコンゴムに硬化剤を入れ、
粘土埋め+ブロック壁に流し込みます。
これで型の片面ができるわけです。
このA4より一回り小さいくらいの型で、
片面に500gくらいのシリコンが入っちゃいます。
使ってるシリコンは、1kgで3000円以上するので、
全体では、けっこうな出費です。
しかも、自分が買ってるシリコンは、
NET 1kgと書いてあるものの、実質は
700〜800gしか入ってないのが悲しいところ……。
だから型の余白を小さくして節約したいのですが、
そうすると注型時にトラブルを起こすので、
悩ましいのです。

8時間くらいでシリコンが固まります。
そしたら、ひっくり返して粘土をはがします。

粘土と部品の隙間から、
シリコンゴムが裏にも回っちゃってます。
そのあたりはカッターでちまちま切り取ります。

もう片面(粘土があった側)にも
シリコンゴムを流すために、離型剤を塗ります。
これを忘れると、両面のシリコンゴムが一体化してしまい、
原型を包み込んだゴミになってしまいます。
離型剤、自分はGSIクレオスのシリコンバリアという
製品を使ってます。
一度、スプレー式の離型剤を使ったら、
うまく離れずに悲しい思いをしたので、
面倒でも筆でぺたぺたしっかり塗ることにしてます。

粘土があった側にも
ブロックを継ぎ足し、シリコンゴムを流します。
大淀さんだけで5つの型が必要になるので、
複数の型を並行して進めてます。
ただ、粘土とかブロックの数にも限りがあるので、
せいぜい3つくらいの並行作業が限度。
あと、最後のひとつの型は、ほかの型ができて
試し抜きをするまで、作らないでおきます。
過去の教訓でそうしてます。
なぜなら、他の型で上手く抜けなかったり、
失敗率が高い部品を、最後の型に
いま一度入れこむためです。

シリコンゴムが硬化したら、はがします。
無事に離型剤が効いてると、いつもホッとします。

原型を外したら、
注ぎ口などを切り欠きます。

レジンの入り口と、空気の抜け道も、
切り欠いていきます。

ひととおりゲート類を切り開いたら、
スプレータイプの離型剤を吹いておきます。
しかし、この後でレジンを流すと、
思った以上に型にレジンが癒着して苦労することに……。
前回はすんなり型から外れたような部品も、
今回は妙に外れづらく、苦労してます。
結局、筆塗りの離型剤も使用中です。

話が前後しますが、
離型剤スプレーを吹いたら、
ベビーパウダーを軽くまぶしてから、
はたき落としておきます。こうすると、わずかに残った
ベビーパウダーのおかげで表面張力が薄れ、
レジンが凹部にもよく流れるとか。
ものの本に書いてあったのですが、
パウダーなしでも、たいていの場合は
大丈夫なような気がします。今回は。

型の大きさに切った
ベニヤ板を用意し、
それで型を挟んで、ゴムバンドで固定します。
この固定方法にはいろいろあるみたいですが、
自分は板挟み式に落ち着きました。
板に、部品の内容やレジンの必要量などを
書くことができたりして、意外と便利。
ただ、この板の切断面や角を丸くしておかないと、
手を傷めるので注意が必要かと思います。

流し込むレジンキャスト。
これが「製品」の素材となるわけです。
A、B量液を混ぜると、数分で
硬化が始まるのです。

型に流し込みます。
床にこぼしたりすると大変。
といいつつ、今回もこぼしまくり(汗)。

湯口からドボドボながすと、
空気抜きの穴にも上がってきます。
レジンが型に回ってる証拠なので、
このプクプクを見ると、ほっとするのです。

レジンが固まったら、
型を開きます。
レジンは数分で白く固まり始めるのですが、
完全硬化まではそれなりに時間がかかります。
艦娘は細かい部品が多いので、
念のため1時間くらい放置してから
開くようにしてます。

取り出した複製品です。
バリが多いですが、まあ問題ありません。
欠けた場所には空気抜きを追加するなどして、
改善を計ります。しかし、指とか帯状の部品の先端とか、
どうしても欠けちゃうところはありますね……。

一体分そろったら、
ゲートから切って一通り確認。
複製の一、二回目の部品は欠けが多いので、
完成見本用(自分用)として利用します。
そんなわけで、7月26日のワンフェス目指して、
せっせと複製に励んでいる今日この頃です。
型が壊れるか、モチベーションが保てるか、
そもそも間に合うか、いろいろと心配事が
多い今日この頃。
原型はもちろん、複製も上達したいです。
こんな引きこもり作業を続けていると、
ふつふつとサイクリングしたくなってきます。
自転車趣味と模型趣味が、
相互に心を補完してくれるのかもしれませんね。