こんにちは、田村です。
ブルベは、ブルベを走りたい人が
主催しております。
自分もしばらく前からブルベの主催クラブのひとつである
「
ランドヌ東京」に所属しており、
なかば幽霊部員ながら、時々は
お手伝いさせております。
そんなランドヌ東京による
今年いちばんの目玉的なブルベが、
先に開催された「BRM920東京1000km」でした。
ペットネームは「ええじゃないか伊勢夫婦岩」。
山梨の石和をスタートし、いくつもの峠と谷を越えて
三重県の伊勢をめざし、東海道で横浜まで
戻ってくるという、壮大なコースです。
ルートラボで概略図を引いてみましたが、
あらためて見るとすごいコースですね。
今回、ワタクシは巡回移動スタッフとして、
全行程にクルマで帯同させていただくことに
なりました。そこで、スタートの
石和健康ランドに前泊することに。
見事なバナーが!
健康ランドの支配人さんが、ご好意で
作成、掲示してくれたものです。
これには参加者もスタッフも大喜びでした。
20日、100名以上の参加者が集合。
ベテランぞろいのランドヌールですが、
今年からブルベを始めたフレッシュな方もちらほら。
7時、8時、9時と、三組に分かれて
スタートしていきます。
制限時間75時間、三日間におよぶ
大ブルベのはじまりです。
運転ができない(汗)ワタクシは、
助手席でナビと撮影を担当。
クルマで最後尾から追いかけてゆく訳ですが、
下道ではなかなか自転車に追いつきません。
あらためて、自転車の行動力に驚きます。
沿道で待っていた応援の方。
これは元気が出ますね!
杖突峠を登ります。
さすがにクルマは楽です(笑)。
走っているみなさまには申し訳なく思いつつ、
やはり自転車で走りたいなとも思いました。
杖突峠を次々とクリアしていく
参加者たち。幸い、好天に恵まれました。
こちらは大平街道。
ツーリングなら癒し系の峠路ですが、
1000kmブルベの道中にあると、
なんとも厳しい関門です。
ブルベの制限時間をクリアするために必要な
グロスの平均速度は、時速15kmです。
普通なら、先へ行くほど自然と
時間に余裕が生まれるものですが、
今回のコースは前半に登りが多く、
多くの人にとって、常に時計とにらみ合うような
切迫した展開が続いたようです。
飯田峠です。
峠で足を止める方は少数で、
みなストイックに先を目指し続けます。
そして、そんなストイックな走りをしなければ、
完走が望めないコースなのです……。
コース沿いの馬籠宿。
もちろん、立ち寄っている参加者は
皆無でした。
多くの参加者を苦しめた蛭川峠。
自分もまったく存在すら知らなかった峠ですが、
中津川と恵那の境あたりにある
凶暴な峠です。
一夜明け、一宮に束の間だけ集合したスタッフ。
一部はシークレットPCで夜を徹して対応し、
自分を含む巡回隊はホテルで仮眠。
走っている参加者に比べればラクなものですが、
クルマ移動でも長丁場は体力勝負です。
伊勢へ続く道。ルートは、
無情にもアップダウン続き。
このあたりから、桑名で試走を中断した
自分にとっては、まるで未知の道です。
自分が走ることができなかった道を、
あきらめずに力強く走る参加者の姿を
見ていると、強い畏敬の念が湧いてきます。
折り返しPCの伊勢浜島。
石和でいただいたバナーに「R」を書き足して
再利用。こちらにはオダックス近畿のスタッフさんにも
来ていただき、力走した参加者を迎えました。
中盤のハイライトが、剣峠。
かねて関西のサイクリストから
聞いていましたが、道の雰囲気も眺望も
すばらしい峠でした。
願わくば自分も自転車で越えたいものでしたが……。
頂上は豪快な切り通しです。
道は次第に五十鈴川沿いになり、
下りきると伊勢神宮です。
そして夫婦岩。
カップルばかりの名所を、
おやじ二人で訪れるのも乙なもの……。
二日目、私ども巡回隊は松坂に投宿。
近場の焼き肉屋に繰り出し、
英気を養いました。
己の痛風を忘れ、しばしの快楽に身を任せたのです。
三日目、岡崎まで高速道路でワープしてから、
コースに戻って最後方をトレースします。
中盤以降、高い峠はないのですが、
意外とアップダウンや右左折が多く、
参加者にとっては、どこまでも楽ができないコースです。
好天であることと、風向きがよいことが
救いでしょうか。
驚くべきことに(!?)、DNFの連絡は思いのほか少なく、
7割の参加者がゴール目指して力走を続けています。
ちなみに、スタッフによる事前の試走は
自分を含め6名が実行しました。
本番の二週間前に自分が、
一週間前に5人が走り、結果は……
完走できたのは1人のみという結果(汗)。
それに引き換え、本番の参加者の力走ぶりには
感嘆するしかありませんでした。
三度目の夜。
写真は熱海峠へ向かう参加者です。
箱根に比べれば標高こそ低いものの、
すでに900kmも走ってきた参加者にとって、
恨み節が集中する峠となりました。
ちなみに、もっとも速い方は、
三日目の夕方前にはゴール済み。
所要50時間少々です。
制限時間は75時間ですから、ゴール待機組みの
スタッフもたいへんです。
仮眠と交代を繰り返し、散発的に到着される
参加者の受付を行っていたのです。
巡回組は、興津の健康ランドで仮眠後、
ふたたび最後方を追ったのでした。
さいわい、大きな事故は皆無で、
巡回組にたいした出番はないまま、
1000kmブルベのフィナーレが近づきました。
暁の熱海峠。
ゴールは、横浜みなとみらいの
万葉の湯。
続々と到着する参加者は、
疲労困憊ながらも輝いて見えました。
そして、23日の12時に最終スタート組の
制限時間を迎え、1000kmブルベは
終了したのでした。
みなさん、三日間本当におつかれさまでした。
個人的に興味津々だった一台。
Sさんのケルビムです。
あえてボトルケージを設けず、
オーダーのフレームバッグを装着するなど、
乗り手の経験がつぎ込まれた仕様です。
そして、なんと……
内装14段変速。
厚歯チェーンで信頼性確保です。
こちらも気になった一台。
リンスキーのディスク車。
AJ副会長様の実践的なマシンです。
根がオタクな自分にとって、
こうした個性的な自転車をじっくり見ることができたのは、
大きな収穫でもありました。
しかし、スタッフとして帯同した三日間は
なかなかの葛藤が心にうごめき、
教訓というか、反省と後悔を与えてくれました。
やっぱり、自分が完走できなかったブルベの
スタッフ業務は、心中が穏やかならざるものが
あるのでした。
力走している参加者の姿と、早々にあきらめた
自分の不甲斐なさを比べてしまうと、
なんともすっきりしない気持ちになるのを
抑えることができず、
やっぱり自分も諦めなければよかったとか、
あーすれば、こーすれば
きっと走りきれたはずだとか、あげくの果てには、
みんなもDNFしちまえ、といった
悪魔的な気持ちにもなるのでした(泣)。
DNFしたブルベほど記憶に残るものですが、
やっぱり完走しないとダメですね。
もしくは、自分が納得できるほど、
力を出し切らないと悔いが残るんだなと、
あらためて実感しました。
来年はPBPがある年ですが、
まずは1000kmをリベンジしたいなと
心に誓ったのでした。
試走中の大平街道にて。
ちょうど夕暮れ時に通過した
木曽見茶屋。豚に真珠のルックで
走ったものの……
暗闇の蛭川峠で心が折れ……
桑名で仮眠用に取ったホテルに到着後、
再スタートできませんでした。
ああ情けない……。
楽観的すぎた予定では、ホテルで3時間ほど
寝るつもりでしたが、実際は1時間しか寝れない
タイミングでの到着。
けっきょく、睡眠と飲酒(汗)を優先して、
走り続けるのを止めてしまったのでした。
走行距離は330km。全行程の三分の一しか
走れなかったわけです。
それだけに、本番で完走するみなさんの姿が
神々しくも悔しくも見えたのです。
もっとも、試走でDNFした時は、
このうえない開放感に浸ってしまい、
輪行の旅を満喫……。
桑名から出ている
三岐鉄道北勢線を体験。
ナローゲージといって、レールの幅が狭い
めずらしい路線なんですよね。
車両もコンパクト。
いつもの輪行袋が小さく
見えました。
で、二日目用に取っておいた岡崎の宿へ移動。
キャンセルして早々に帰宅してもすることはないので、
岡崎城で開催中だった
刀剣とマンガの世界展を見たりして、
ぽっかりと空いた時間を無駄に
過ごしたのでした。
今年、もうエントリーしているブルベはありません。
ブルベ以外のサイクリングを楽しみつつ、
来年のブルベシーズン開始まで、今回の反省と悔いを
忘れずにいたいものです。