日頃、家では発泡酒しか飲まない(ことにした)ので、
ホンモノのビールがとにかく最高!
そして地場産で手の込んだ料理がうまい!
結果、あっという間に酩酊して
推定時間21時には就寝。
こんなに早く寝ることができるのは、ツーリングの時だけです!
翌16日も朝から快晴。
さいわい二日酔いにもならず、
抜けるような青空に気分をよくして、8時前には宿を出発。
上高地乗鞍スーパー林道を進みます。
白樺峠を越え、南側から乗鞍高原へ
アプローチするコースです。

二日目のコース概略。
松本側の、新島々駅からアプローチすることも考えられますが、
国道158号線はトンネルが多く交通量もあるので
けっしておすすめできません。

以前は有料だったという
スーパー林道。
奈川から登ると交通量はほとんど皆無で、
まるで二人だけの専用道路のようでした。

9時過ぎには標高1500mの白樺峠を越え、
乗鞍岳とご対面。
いま立つ地点との標高差は1000m以上。
森林限界を超えた豪快な山肌を
仰ぎ見る二人。数時間後にはあそこを走っているはず!
そう思うと走る意欲がわき上がってきます。
ちなみに、白樺峠はバードウオッチングの
人気スポットらしく、散策路の入り口周辺は
何十台もクルマも停まっていました。クルマの多くは
乗鞍高原側から登ってくるようで、
僕らが下る時も何台もすれ違いました。
三連休の乗鞍、やはり人の訪れが多いんだろうなと
思いつつ、お目当ての乗鞍エコーラインと乗鞍スカイラインは
一般車両通行止めなのがポイントです。

白樺峠からほんの少しだけ下り、
樹木の色が早くも秋めいている乗鞍高原へ。
爽やかで胸が空くような道をゆるく下り続けます。

観光センター着9時50分。
広大な駐車場は自家用車でぎっしり。
ここでシャトルバスに乗り換え、乗鞍を
めざす人が多いのです。
ここは毎年8月末に開催される
ヒルクライムレースのスタート地でもあります。
まだ三十路半ばだった頃、僕も2回ほど出たことがあります。
最初は1時間20分台、二度目は1時間30分台。
こりゃあダメだと思って、もう出なくなりました。
今回はツーリングですから、すばらしい景色と
走り応えを目一杯楽しもうと思います。

宿で用意してもらった
お弁当で腹ごしらえ。
観光センターで食事が可能ですが、
やはり携行できる食べ物があると安心です。

乗鞍エコーラインは
距離20kmで標高差1200mほど上がります。
最終的に日本の道路最高所である
畳平(標高2700mほど)に達しますが、
ベースの標高が高いことと、距離が長いことで
勾配はさほどきつくありません。時間さえかければ
ほとんどの方が「道路最高所」を体験できます。

三本滝のゲート。
観光センターから8km地点のここより先は、
一般車両通行止めです。
ちなみに、僕らが走る前日にもクマさんは
現れたそうです……。

スキー場の斜面を
じぐざくに登っていきます。ああ、
こうして自転車を停めて写真を撮るのが夢だった(笑)。

三本滝ゲートからさらに8km走り、12時20分過ぎに
位ヶ原山荘に到着。登りはじめてすでに2時間。
立ち止まると風が冷たく、標高の高さを感じます。
それにしても、ラックに乗った
多数のロードバイクが昨今の自転車シーンを
象徴してますね。
TOM開催日だし、道中でツーリストと出会うだろうなと
思っていたのですが、高山側からピストンした方が
多かったようです。

山荘で食べたうどん。800円なり。
まだフロントバッグにおにぎりも残っていたのですが、
温かいものが食べたくて衝動的に注文。
「僕はいいよ。お腹ふくれると登れないよ〜」
賢明なI さん。
汁まで飲んでしまった僕は
すっかりペースダウンを余儀なくされましたが、
終わらない峠道はありませんので、進んでさえいれば
いずれ下りがやってきます。

乗鞍のシンボル、大雪渓。
夏の終わりゆえか、ずいぶん小さくなってますが、
そのわずかな範囲でスノーボードを
楽しむ方が大勢いてビックリ。
そして「こんな自転車でここまで!?」と驚くような
自転車が並んでますが、なんでもボーダーの方々は、
バス輪行でやってきて、乗降場と大雪渓の往復に
自転車を利用するのだとか……。
アクティブなのか面倒くさがり屋なのか、よく分かりません。

斜面を一直線に伸びる道。
残念なことに西から雲が流れてきました。

再び岐阜県へ。よっこらしょっと県境を乗り越えると……

別天地が広がります。
幻想的な風景もそうですが、
カラフルな装いのハイカーたちの
多さにもびっくりです。さすが三連休。

畳平のレストハウスでは、
平湯峠側から登ってこられたTOM参加者たちと合流。
みんな顔なじみです(笑)。
立てかけられたカッコいいトーエイ車たち。
その端に、なにやら時代遅れ&場違いな感のあるMTBが。

「90年のビーエスだがやあ、ネオコットなんだからネオコット、よく見てよ! 40万しただよ40万。そんでパーツがXTRだもんで、その値段を抜いたらフレーム代がいくらか分からんがやあ……」
超ベテランサイクリストにして、
『シクロツーリスト』でも健筆をふるっていただいた
こじま様の自転車でした。
「なんだコレ?」とか言って、大変失礼しました(汗)。

岐阜県側の乗鞍スカイラインは、
長野側のエコーラインにも増して豪快な道。
健脚のNさんと三人で
日本離れした景観のなかを
一気に下っていきます。
ちょっとブレーキレバーから手を離すと
速度は60kmオーバーに。怖さと爽快さを同時に味わいつつ、
キーキー鳴くマファックのブレーキは
頼りないなあと思いました。
いまどきのサイドプルブレーキやディスクブレーキに
慣れてしまうと、古いブレーキは
怖くて使えませんね。

途中の駐車場から高山方面を遠望。
ガード付きのツーリング車が
風景とよく調和するのはなぜでしょう?
ロードやMTBを撮影すると、どこで撮っても
単なる記念撮影か、自転車の
説明写真にしかなりません。
ツーリング車は、どんな風景にも馴染み、
さりげなく溶け込んでくれます。それでいて
旅の象徴として詩的な存在を感じさせます。
鏡面仕上げのガードが空を映すからでしょうか?
単純に見慣れているカタチだからでしょうか?

標高1684mの平湯峠まで下ってくると、
ちょうど「はづきの御大」こと、
Sさんが峠に到着したところでした。

高山郊外の宿へ向かって、
総メッキのサンジェを乗りこなすSさん。
「昔は“下りの昭ちゃん”なんて呼ばれたがや」
距離17kmのダウンヒルをご一緒させていただき、
御歳70を越えている(!)とは
思えない巧みな走りっぷりに脱帽しました。

16時過ぎ、TOM会場の
シャレー中西さんに到着。
距離70km、獲得標高2500mほどのツーリングは
無事に終了。
「昨日も今日も、ほとんど平地がなかったねえ」とIさん。
それだけに、満足感たっぷりの二日間でした。

で、お楽しみはこれから!
大広間を埋め尽くしたトーエイ車の数々。
はじめてTOMに参加した時は、本当に腰が抜けそうなほど
驚いたものです。
こうしてTOMに結集した一台一台が、
乗り手の夢と東叡社の技術の
結晶なのです。

お楽しみの大宴会。
今回はなんと104名も参加されたとか。
カルトクイズや抽選会、オリジナルグッズの特別販売などで
夜が更けていった……のですが、
僕はまたしても21時頃には早々と夢の中。
サイクリングとビール飲み過ぎは
最高の睡眠薬ですね!
その反動か、翌17日は5時半と無駄に早く目覚めてしまい、
無駄にしないために軽くサイクリングへ。

宿から6kmほど国道を登り返し、
名勝「銚子の滝」を見に行きました。
案内に沿って国道を逸れると、
ふんいきのよい細道が滝へと導いてくれます。

思いのほか迫力のある滝でした。
なんでも、滝壺のカタチがお銚子に似ているとか……。
よっぽど大酒飲みが名付けたんでしょうね〜。

9時に集合写真を撮っていただき、
名残惜しくもTOMはお開きに。
小泉ご夫妻をはじめ、実行スタッフのみなさま、
今年もありがとうございました。来年もよろしくお願いします!

ツーリングも三日目となると、
さすがに気だるくなってきますので
素直に高山駅を目指すことにします。
クルマが多い国道を逸れ、県道をのんびりと。
西へ向かって進んでいくほどに
空が大きく開いていき、収穫の時期を迎えた水田が
左右に広がっていきます。
まるで金色の野をゆくがごとし、です。
ちなみに、こ〜したセリフを僕が書く場合、
それは8割方、アニメのセリフです(笑)。

魅力的な道標が出現。
さっそく行ってみることにします。

モーターグライダーやセスナが
ひんぱんに発着してました。
この飛行場、小高い丘の上にあって、
周囲からはまったく見えません。
県道89号線の近くなのですが、
『ツーリングマップル』には載ってません。
秘密基地を見つけたようで、ちょっと得した気分に
なって進んでいくと、道はほどなくして
JR高山本線に突き当たります。

めざす高山駅のひとつ北、
上枝(ほずえ)駅です。これは難読駅名ですね!

JAひだの前に建つ「飛騨牛」。
そういえば、おとといも昨日も夕食で会ったよね!
ありがとうございます……。

30kmくらいプラプラ走って、高山駅には11時過ぎに着。
すぐに列車に乗るのももったいないので、
せっかくなので「飛騨の小京都」をプチ観光。

老若男女を問わず、
観光客でにぎわう歴史的街並。

駅にほどちかい、さりげない食堂に入って
飛騨ラーメンを注文。味のほうも、可もなく不可もなく、
さりげないものでした。
めずらしくグルメっぽいことをした
自分の成長(?)に満足し、駅に戻って輪行の準備。

せっかくなので、時間を計ってみることにしました。
乗りつけたそのままの状態から……

5分後にここまで。

その4分後に作業完了。
ベルトで縛り、袋に入れるのに
思ったより時間がかかってました。
だいたい計10分が所要時間。
急げばあと1、2分は短縮できそうだけど、
まあこんなものでしょう。

甘いブラックってなに!?
関東人には分からないセンスです。でも、
飲みやすい味でした。

ディーゼル特急「ひだ」に乗車。
これで名古屋まで2時間半。

荷物スペースに輪行袋が
すっぽり収まりました。
それにしても、行き当たりばったりで連休最終日の
特急指定席が取れたのは幸運でした。
ディーゼル列車はローカル線の象徴です。
電車と違って、床下からエンジンの振動と音が伝わり、
それが無性に心地よくて眠気を誘います。
乗鞍のエコーラインとスカイラインを走れるのは
10月いっぱいまでです。走ったばかりだけど、
もう一度走りたいなあ。