喜多方を後にし、いよいよ裏磐梯の山岳エリアへ。

なんとGPSが気温39度を表示。
キャットアイのメーターは36度。しかも日陰がほとんどなし。
こりゃ暑いわけだ……。

しかし、標高が上がれば涼しくなる……ハズ!
前向きに考えて、檜原湖までマイペースで
進みます。勾配9%の表示が現れ、スプロケットの最大歯数を
28Tから25Tにしたことを軽く悔やみつつも、
檜原湖を見下ろす裏磐梯の道の駅へ14時半に着。

ここで標高900mほど。
本コースの最高標高は1240mの土湯峠。
この分なら明るい時間に越えられそうだと目処がつき、
ほっとひと安心。
ほどほどの登りがあったほうが、
平地が続くより走る気力が高まります。僕は。
とゆ〜か、平地と下りが苦手で遅いので、
そうでも思わないとやってられません(汗)。

裏磐梯を走っていたという軽便鉄道の案内。
今回は先を急ぐものの、いつか探索しなくて。

土湯峠の終盤戦。
来た道を見下ろし、先にそびえる道を見上げるのが
峠越えの醍醐味。
気温は予想どおり下がり、頂上では20度を切るほどに。
17時に土湯峠を下りはじめ、PC4岳温泉のコンビニは17時半着。
苦手な下りとはいえ、やはり登りよりは速いので
(当たり前ですね)
下った先にPCがあると助かります。
事実上、制限時間が延びるようなものですから。
しかし、後ほど聞くところによると、
土湯峠の下りで雨にあった参加者もいたそうで、
するとせっかくの下りで時間を稼げず、
PC4でリタイアを余儀なくされた
方も少なからずいたとのこと。
ほんのわずかな通過時間の違いが
明暗を分けることもあるんだなあ……。
長距離・長時間を走るブルベの難しさです。

距離336.6kmのPC4はファミマ。
キャンペーン中の初音ミクがうれしかったりして(照)。

サドルバッグの後ろで
自動点灯してくれるテールランプ。
今回の新装備です。これも、見た目より実用性を
重視して追加装備しました。
夜間はもちろん、日中のトンネルでも自動点灯するので
たいへん心強いアイテムです。

このPC4ではカップラーメンと
カフェオレを購入。疲れると、不思議に
カップヌードルが食べたくなります。
塩っけを体が欲するのでしょうか。停車約20分。
気分転換のためにも、やっぱりこれくらいは休みたいです。
続くPC5は距離359.3km地点。
このあたりでPC間の距離を短くして制限時間を増やし、
翌日に備えて仮眠を取れるように……という
主催者の優しい意図を感じます。
それを無にしてはならぬと、宿を取った
郡山をめざします。

コースの国道49号から1kmほど離れたビジネスホテルへ。
実際に走ってみると、国道49号沿いにも
何件かホテルがありましたが、ネットで調べただけでは分らず…。
ホテル到着時間は……19時半!
予想目標より1時間も早く到着でき、
「ああ、寝れる」というしあわせ感が僕を包みます。

フロントで受け取った荷物を開封。
実は、愛用のアソスも上下一着入れておりました。
もし、スタート時にミクジャージを着ていた参加者がいれば、
敬意を表して僕などが着るべきではないなと。
そして、やっぱり照れるので(笑)
最後まで選択の余地を自分に与えようと
思ったのでした。

充電の用意を終え、寝ます。
正味3時間半ほど寝て、23時40分に起床。
まとまった時間をベッドで寝ることができ、
心身の回復に成功!

ミクジャージを着る気にもなるってもんです(照)。
我ながらいかがなものかと思いますし、こうした系に
違和感をいだく方も多いと思いますが……。

反射ベストを着ると、
まるで見えなくなるので許してください(笑)。
ちなみに、このジャージは
オーダーで有名なウェーブワン製。
着心地やパッドの快適さは、さすがに
アソスにはわずかに及ばないと感じましたが、
いつか『ランドヌール』特製ジャージなど
作りたいなあと思いました。

日付が変わった0時にホテルを出て、道すがらの
「すき屋」で牛丼並みを注文。

5分で完食。
「ラーメンピザ」を除けば、これが唯一の
コンビニ以外の食事。

二度目の深夜走行へ。やっぱりテールは二灯が安心。
制限時間のない(これも優しい配慮かと)通過チェックの
コンビニ(距離397.8km地点)を2時にクリアし、
ポケットがパンパンになるほどゼリーやパンを突っ込んで、
いよいよ農道に入ります。
……農道。日常の移動ではもちろん、ツーリングでも
まずめったに走らない「農道」が、なぜか
ブルベではコースに組まれることが多いようです。
その理由はふたつだと思います。
ひとつは、交通量が圧倒的に少ないこと。
もうひとつは……アップダウンが楽しめる(?)こと。
一概には言えませんが、古来からの街道と
無縁の農道は、クルマの通行しか考えてないため
自然の地形を無視した力押しの道が多いです。
今回の石川広域農道はその典型と思われ、
しかも阿武隈山地の縁を抜けるような道筋なので
アップダウンが多いこと多いこと……。

時おり霧が出て、
星明かりも霞む農道。
もちろん街灯やクルマは皆無。
ライトを作る各メーカーの担当者は、
ぜひとも、こういった道で走行テストを
してほしいものです。
2時から5時まで農道で悪戦苦闘し、
もうほんと、駅があったらDNFするよと思いましたが、
時間的にも地理的にも逃げ道なし。
眠気も押し寄せ、思考力が低下し、
キューシートを見ても次のPCまでの
距離や所要時間が満足に計算できないありさま。
ようやく462kmt地点のPC6に着いたのは
6時少し前。予想目標では6時半だったので
上出来とは言え、6:46という制限時間に対する
アドバンテージはかすかで、少々ビビりました。

ここで再び坂西さんと遭遇。
すっかり明るくなったことですし、
あらためてプロトタイプ・カーボン車を拝見。
競輪で確固たる地位を築くマキノサイクルファクトリーが、
こうした新しい挑戦もすることに
新鮮な驚きを感じます。
極太ダウンチューブと細身のシートステーは
最近のカーボンロードのトレンドと言えるかも知れません。
ハンドメイドの匠がプロデュースする
カーボンフレーム。近日中に市販されるとのことで、
興味ある方はマキノサイクルファクトリーに
問い合わせてみてはいかがでしょうか?

『おねがい☆ティーチャー』の
ジャージを着たSさんと記念撮影。
和テイストのデザインが素敵です。
それに引き換えミクジャージは直球勝負……。
しかし、こっち方面にもたいへん造詣が深い坂西さんは
「すでに初音ミクは痛くない」と断言してくれました。
ちなみに、Sさんは某映像音楽会社の方で、
そのジャージも自らが坂西さんの協力も仰いで
製作したもの。そして自らが着用し、600kmブルベに
出られるとは圧倒的にすばらしいと思いました。
そんなこんなで、後半戦に突入。もう峠はありませんし、
あとは事故に気をつけて安全走行さえ心がければ……
なんて甘い考えはぶち壊されました。

日が高くなると、やはり暑い。
PC6とPC7の区間距離は110kmほどでしたが、
途中で実に3回もコンビニに寄りました。その度に
ガリガリ君をいただき、体と共に心に熱中症対策。
筑波山のあたりは、人気の自転車道「りんりんロード」で
何回か走りましたが、ブルベのコースは県道メイン。
すると、ちょっとしたアップダウンが思いのほかあり、
油断していたミクジャージのオタクを容赦なく
いじめます。新品なのに…と思いながら、ボトルの水を
ジャージにボトボトかけながら先を目指します。

11時10分頃にすべり込んだ
571.3km地点のPC7にて。
なるべくゼリーやパンで済まそうと思っていましたが、
たまらず冷やし中華です。

ここで拝見した、個性的なディスクブレーキ装備車。
なんでもネットで購入したとかで、
国内ではあまり見ないイギリスブランドのモデルでした。
さて、永遠にコンビニの日陰にとどまりたかったのですが、
眠気の再来を恐れて出発。

利根川を渡り、千葉県に戻ってからも容赦なく暑い。
そのひとつひとつにラピュタが入ってそうな
夏雲が浮かびます。いっそのこと、ひと雨ほしいくらい。
サドルバッグに入れといた上下のレインウェアと
シューズカバーはとうとう出番なし。

13時25分、ついに
取出駅前にある最終のPCへ。本当に合ってるだろうなと、
店名を確認。街中はコンビニが多いですし、
ここまできてイージーミスは避けたいものです。
レシートを受け取ったら、ゴール受付へ。
もはや懐かしくさえある道の駅しょうなんへ
向けてラストラン。
すると、手前1kmほどで、妙に見慣れた背中と自転車を
前方に発見……。なんと、我孫子在住で
北海道の大雪600kmブルベもご一緒した
ベテランサイクリスト、アニマルSさんが出迎えてくれました。
「予定してた山サイが中止になっちゃってさあ、俺もブルベ走ればよかったよ。だからさあ、お迎えっていうか遊びに来たよ」
泣かせますねえ〜。
思えば、僕に初めて「ブルベ」という存在を
教えてくれたのもアニマルSさんでした。去年です。
当時は、まさか僕がブルベを走るとは思ってませんでしたが、
ほんの一年後にこうなるとはねえ……。いい意味で、
人生って一寸先は分りませんね!

スタッフが待つゴール受付に到着。
完走所要時間は37時間26分でした。
自転車も自分も無傷だったことがなによりうれしい。


坂西さんとSさんも到着。
いやあ暑かったですねえと互いの力走を
ねぎらうことしばし。
しかし、奇特大学生、五十嵐君は待てども戻らず。
そうだ、僕は携帯を切ってたんだと気づき、
電源を入れてみると、しばらく前に彼からメールが
入ってました。そこには……。
五十嵐君も
ブログがあるので、見てやってください。
今回の喜多方600kmの完走率は
5割ほどだったそうです……。

迎えてくれたアニマルSさん。トーエイ乗りです。

男は背中で語るもの。左から……
人気自転車同人誌『
ロングライダース』の
編集幹事、いしこうさん、
僕、
Sさん。
誌面掲載は自粛したいほど超貴重(?)な3ショットです。
さて、僕には自宅までの道のりが待ってます。
家に帰るまでがブルベ、と申しますから。

「国道6号ならこっちがいいよ」と、
手賀沼のサイクリングロードを案内してくれたアニマルSさん。
とてもきれいに整備された道で新鮮でした。

荒川を渡ると、
夕暮れの向こうに富士山が小さく見えました。
★
ブルベらしく、非常に長い
投稿で失礼しました! まだまだ書きたいことは
ある気がしますが、このへんでバイ。
最後に、すばらしいブルベを主催していただいた
AJ千葉のみなさんに、あらためて感謝したいと思います。
ありがとうございました!