こんにちは、田村です。
いつも好き勝手やりたい放題に
サイクリングを楽しんでいる私ですが
たまには人の親らしいこともします。
結局、輪行サイクリングなのですが(汗)、
先の日曜日はひさしぶりに娘と出かけました。
「走りにいくか?」と誘ったら、めずらしく
乗り気になった娘。なんでも最近は
体重の増加が気になるらしく、
小学三年生でそんなことを気にしてどうするんだと
思いつつも、サイクリングをしたいという気持ちに
つながるのなら、まあいいのかもしれません。
そして、娘が最近はまっている
アニメ「のんのんびより」の舞台と、グルメ処を
入れ込んだ、思いやりあふれる(?)コースを考えました。
池袋駅から東武東上線に乗り、
武蔵嵐山駅で下車です。
自分が住んでいる池袋は、東武と西武が使えるので、
峠の宝庫である奥武蔵エリアへの
アクセスには恵まれています。
とはいえ、峠をがっつり縦走するのは
娘には酷なので、ほのぼの系のコースです。
距離約50kmで、ときがわ町から
秩父をめざします。定番でしょ?
前半は、以前にご一緒させていただいた、
高地さん主催の「サンツアーミーティング」を踏襲させていただき、
後半は、二本木峠を軸に秩父ふるさと高原牧場を経て
秩父の街に入ります。
なんども走っている奥武蔵エリアですが、
たくさんの峠と道筋が入り組んでいるので、
訪れるたびにコースを変化させることができます。
このあたりだと、定峰峠や白石峠がやたらとメジャーですが、
娘は本格的な峠を越えた経験がないので、
奥武蔵の峠群のなかでは標高が低い
二本木峠を選びました。標高は590mなので、
定峰より少し低く、なおかつ峠区間が短いのが
特徴ではないでしょうか。
自分も鬼やマゾではないのです(笑)。
自転車二台の収納&組み立てを
おやじ一人でやるのは面倒ですが、
いたしかたありません。
都幾川沿いを進みます。
春は桜や菜の花が見事ですが、
いつ訪れても心が癒される光景です。
「田んぼが実ってるね」
「とーちゃん、スイデンっていうんだよ」
「同じことだろ」
時速15km巡航くらいの
のんびりペースで走ります。
小川町の下里分校に到着。
途中、不意の通行止めなどがあり、
南から行くつもりが、北から国道経由で向かいました。
廃校になった小学校で、ここがアニメに出てくる
校舎のモデルになっているのです。
情緒ある木造校舎です。
自分は「のんのんびより」をほとんど見てないのですが、
田舎暮らしの日常系アニメらしい舞台です。
「古いけどなんかいいね〜」
娘のほうが詳しいので、
興味津々で見て回ってます。
「ちゃんと机が5つあるよ!」
「それがどうした」
「5人だけ通ってるんだよ」
「そういう設定なのね……」
アニメの舞台解説が。
昨年に訪れた時は見かけなかったと思うので、
あらためて注目されてるみたいです。
「にゃんぱす〜」
謎の挨拶をする主人公たちが描かれてます。
アニメと同じだ、と遊具に喜ぶ娘。
娘が通ってる小学校には遊具がほとんどないので、
なおさら興味がわいた様子。
「お前、日常系のアニメ好きだね〜」
「わたし、ワク広いんで」
「……」
さまよっていた野良猫(?)とまったりしたり。
お約束の交流ノート。
「ここかよいたい」とか
書いてました。
下里分校から2、3kmで小川町の道の駅です。
ここで早めの昼食をとることに。
曇りがちの日でしたが、ロード乗りが多くてびっくり。
ロード系の方々は、特定の場所に集まる傾向がありますね。
奥武蔵では、定峰や白石峠に至る道筋では
たくさんのロード乗りを見かけますが、一本でも
そんな道から離れると、ほとんど見かけなくなります。
同じ道をなんどでも走る練習系のサイクリストと、
知らない道を訪ねたいツーリング系サイクリストとの
大きな違いかも知れないですね。
「峠挑戦ルート」なんて
案内板がありました。ここでも
定峰と白石峠が紹介されていて、
それだけじゃないだろ、と突っ込みたくもなります。
道の駅の食堂で、うどんをいただきます。
小川町で栽培された小麦を
自家製粉してるとのこと。
「素朴な味わいだね〜」と、
生意気な感想をいう娘。
この日は気温25度くらいでしたが、
暖かいうどんが美味しい季節になりましたね。
この道の駅は売店の品揃えも充実していて、
娘のリクエストで「おからドーナツ」などを購入。
この先の峠越えに備えます。
すっかり満腹になったあと、東秩父村へ向かいます。
小川町〜東秩父のメインルートは県道11号ですが、
けっこうクルマが多いので、
裏道を選んで進んでいきます。
一時間もすると娘が休みたがるので、
東秩父の和紙の里で小休止。
紙すきのようすを見学。
ひとりのサイクリングだとこんな寄り道はしないので、
娘と一緒のほうが発見が多くなります(汗)。
ちょっとヒヤリとする
一本橋も無事に通過。
県道11号に出ます。
落合橋を左折すれば定峰峠ですが、
我々はもう少し直進します。
二本木峠の入り口です。
立派な標識があるので、間違えようがありません。
距離4kmほどで370mくらい登ります。
体重増加気味とはいえ、身長相応に軽量な娘は
登りでは意外と速いです。
しかし、すぐに休みたがります。
疲労というより、すぐに息があがってしまうようで、
「ゆっくりでいいよ〜」と言い聞かせつつ、
止まったり進んだりの繰り返し。
上り口は県道ですが、しばらくで
林道になり、木立のなかを進むようになります。
ほとんど杉ですが、道ばたに栗が落ちたりもしています。
静かで雰囲気がよい峠路です。
走っている時間より止まってる時間が長いようなありさま。
どかっと道に腰を降ろし、堂々と休憩。
「クルマくるから端っこに寄りなよ」
「こないよ、こんなとこ」
偉そうにしつつ、葉っぱがカサリと落ちてくると
「熊? 熊じゃないよね?」とか
びびります。そして、歩いてるアリンコに
ドーナツのかけらをあげたりしてます。
自分ひとりでは一気に上り詰める峠ですが、
娘と一緒のほうが、なんだか自分も面白いです。
やっぱり、速くないほうが、サイクリングを
楽しめるんじゃないか……と、急速に脚力を
失いつつあるおっさんは意を強くします(笑)。
14時半頃、無事に二本木峠に到着。
北や南から峠を縦走してくると、
ただの鞍部にしか感じられない二本木峠ですが、
麓からここをめざして登ってくると、
しっかり「峠」であることを感じさせます。
「峠だぞ。ガッツポーツでもしろよ」
「……」
自分のペットボトルは飲み尽くし、
勝手にオヤジのドリンクボトルを奪って水分補給する娘。
二本木峠は、江戸時代、忍藩と秩父を結んだ峠とのことです。
山奥の秩父と平地の忍藩とで、
いろんな産物のやりとりがあったんでしょうね。
二本木峠に登ってしまえば、
秩父ふるさと高原牧場までは下り基調。
モヤが出て、視界は広がりませんでしたが、
ソフトクリームなどをいただいて、それなりに
娘もご満悦。
自分にはめずらしく(?)、道の駅や牧場をコースに
組み入れましたが、やっぱり食べ物は
走るモチベーションを上げるようです。
まあ、フツーはそうですよね(笑)。
牧場をあとにすると、ちょうど、
牛が草を食んでる光景に出くわしました。
「牛って草を食べるんだね〜」
「……なにを食べると思ってたんだ?」
良くも悪くも、都会育ちのオタク娘なのです。
秩父の街まで急降下。
サブレバーが付いてるので、
ハンドルの上を握りっ放し。
下からブラケットのレバーを握るのは、
まだちょっと怖いみたいです。
ここの下りは大人でも少々ビビるくらいの勾配なので、
二人してゆっくり進んでいきます。
お約束の旧秩父橋。
この日も、「あの花」ファンとおぼしき
たくさんの人がいました。
「とーちゃん、めんまのコスプレすれば」
「しないよ! ゆきあつじゃあるまいし」
「ぐふふ」
すっかり腐女子サイクリストになった娘。
親が親だけに、いたしかたありません。
今日の武甲山は、うす雲がかかってる分、
山肌の掘削跡がめだたず、
美しい姿に見えました。
娘と一緒でも、やはり締めはココ。
高砂ホルモンの本店です。
16時半に並んだのに、ちょうど自分たち二人で
満席になり、人気の高さをあらためて実感。
そしてあいかわらず美味しいです。
一時間ほど肉を食べまくり、家路につきます。
ちゃっちゃと二台分を収納します。
娘の自転車のほうが、特にホイールが
重いのが可哀想だなあと、あらためて実感。
次に買い替えてあげる時は、
700Cが選べるのでしょうか……。
自分が輪行してる間、娘は仲見世商店街に繰り出し、
母親へのお土産を買ってました。
殊勝ですね。みならわねば……。
特急を奮発すれば、
たった1時間半で池袋までワープです。
こうして、無事に娘の峠デビューは完了。
また付き合ってくれることを
祈るばかりです。