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シクロツーリスト&ランドヌールときどき模型の製作日記

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特別な宇治へ その2

こんにちは、田村です。

宇治への旅、二日目は駒ヶ根からスタートです。
この日のメインイベントは、東山道の難所と知られた
神坂峠を越えることです。
東山道は、中山道や東海道よりずっと前、
律令制時代(7〜10世紀)に作られた
古代の街道です。

南信州から岐阜方面へ抜ける道としては、
大平街道が有名ですが、標高的にも歴史的にも、
神坂峠のスケールは雄大です。
かなり古い自転車雑誌で、神坂峠から下界を見下ろす
写真を見たことがあり、いつかは走ってみたいと
思っていたのでした。
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国土地理院地形図より。
岐阜側のつづら折れが圧巻。
神坂峠の標高は1585mだそうです。

ただ、神坂峠の信州側の車道は
ずっと車両通行止めであり、
岐阜側の中津川からのピストンしかできません。
ほとんどのクルマは、中央道にある
長大な恵那山トンネルであっという間に
通過できるので、実用上は神坂峠を
越える意味なんてなくなってしまってます。
しかし、そこに峠があれば、
越えてみたくなるのが、サイクリストの
情ではないでしょうか。ピストンするのではなく、
ある地域と地域をつなぐため、向こう側に越えることが、
峠を走る醍醐味ではないでしょうか。

そんなわけで、今回の行程のハイライトとして
神坂峠を組みこみました。その結果は……

*以下、決して安易におすすめできない内容が
 含まれてますので、ご注意くださいませ。

朝6時過ぎにはホテルを発ち、
まずは一路南下、飯田をめざします。
神坂峠の入り口となる阿智村は、飯田の
南どなりにあります。
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このあたりの地形は、典型的な
河岸段丘です。
飯田線と寄り添うように伸びる、県道15号を走ります。
さすがに朝方は空気が気持ちよく、
飯田までの距離30kmは快適そのもの。
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飯田のコンビニで朝食。
これからの峠越えに備えて、
補給食や飲料も多めに購入しておきます。
あいかわらず愛想のない食べ物ですが……。
飯田を過ぎたのが8時頃。ここから国道に入りますが、
実際に走ってみると、この先の阿智村まで
国道沿いにはコンビニが点在してました。
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昼神温泉郷を過ぎると、
じわじわと登り勾配が続くようになります。
国道は、清内路峠を経て大平街道に続きますので、
昼神温泉を過ぎたあたりで分岐する県道を進みます。
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陽が高くなると、やっぱり今日も暑い。
ドリンクボトルに入れた真水を
時々体にかけながら、
のんびり走っていきます。
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インターもある園原には、
東山道であることをあらわす
碑や看板があちこちに。
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インターを過ぎるとすぐ、分岐が現れます。
後で振り返ると、ここが運命の分かれ道だったのです。
左はヘブンズというゲレンデを経て
神坂峠に至る車道で、地図でも確認できるのですが、
車両は通行止めです。
右の道は、少し先にある神坂神社までは確実に
車道があるのですが、その先が不明瞭でした。

いかんせん土地勘がまったくないエリアなので、
かなり事前に、神坂峠に至る道について、
阿智村の役場に問い合わせをしていました。
いただいた返答は、ヘブンズまでゴンドラ経由で行くか、
神坂神社の先の道を通るか、その
ふたつしか、阿智村から神坂峠に至る道はない、
というものでした。
ゴンドラに自転車が載れるとは思いませんし
(実は載せることが可能という話も……)
当然ながら、峠まで自走で行きたいと思いました。
すると、神坂神社の先にあるであろう
道を進むしかないだろう、と思いました。
念のため、神坂神社の先にある道についても
問い合わせたところ、車両通行は遠慮してもらってるが、
自転車を押し歩いての通行は可能、とのことでした。
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左への道は、やはり通行止めと出ていました。
地図上ではヘブンズ経由で峠に至るのですが、
道に問題があるのか、地元の方かヘブンズ用なのでしょう。
(詳細はわかりません)
この看板の手前にガソリンスタンドと農協があり、
そこの自販機で休息したあと、
意を決して、右手に伸びる神坂神社への道を進む
ことにしました。
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棚田が点在する里山風景です。
信濃比叡というお寺があり、大きな
茶屋などもあったので、神坂神社までは
観光客も訪れるようです。
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神坂神社が近づくと、
道は1.5車線になり勾配も増しますが、
木陰が多くて雰囲気は良好です。
もっとも、足はかなりいっぱいいっぱいで、
ギヤはずっとインナーローに入れっぱなしですが……。
今回のマキノ号は、34×25Tなのですが、
やはり後ろを28Tにしておけばよかったと
軽く後悔しつつ、Mさんと二人でとぼとぼ進みます。
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やっと神坂神社の前に到着。
時刻は10時半。駒ヶ根から
60km弱しか走ってませんが、先を急ぐ必要もないので、
ゆっくり休憩します。いちおう、この日は
岐阜あたりまで170kmほどを走る計画でしたが、
すでに輪行袋を使う気まんまんです(汗)。
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創建時期が分からないほど
古い神社だとか。
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しばらく休んでると、
マイクロバスや自家用車に乗った方々が、
入れ替わり立ち代わりやってきました。
ちょっとお話しすると、万葉の歌碑があるとかで、
そうした短歌の集まりでやってきたそうです。
ある意味、僕らが好きな「舞台めぐり」と
同じような楽しみなのかも知れませんね〜。
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重い腰を上げて先へ進むと、
道はほどなくして舗装がなくなり、
粗めの砂利を敷いた路面になりました。
がんばればロードでも乗れなくはない道ですが、
がんばる必要もないし、転ぶのもこわいので、
淡々と押し歩くことにしました。
これが、役場の方が教えてくれた、
「押し歩けばOKの道」なんだろうと思いつつ……。
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ゲートがありました。
施錠されており、物理的にクルマは進めません。
神坂峠に至る自然歩道の案内があり、徒歩なら
ゲートの脇から先に進めます。
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神坂神社から2kmほど進むと、
斜面に伸びていく登山道の入り口が現れました。
「古代東山道 神坂峠まで4.7km」とありました。
僕らが歩いてきた砂利の林道(?)はまだ先に
続いているので、まよわず林道を進みます。
実はこの林道の行く末がわからず、
地図では途切れているのです。
しかし、押し歩いていける道が
まだ先に続いているのは間違いないので、
登山道は気にも留めず、先へ進みました。
すると……
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急速に道が荒れてきます。
クルマが通った痕跡はありません。
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点々と可憐な花が咲いてます。
しかし、進むほどに不安になる道です。
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ついにヤブコギに。
勾配はゆるいので進むのは
さほど困難ではありませんが、
ロード用シューズのMさんは、さすがにしんどそう。
(自分はMTB用のSPDでした)
この道が峠につながってるんだろうと信じつつ、
願いつつ、1kmくらい歩んでいくも……。
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とうとうガレ場に……。
行く手には砂防ダムが幾重にも立ち、
だんだんと道のトレースが難しくなります。
これはもう、道ではないんじゃないか? と、
遅まきながら気づきます。
そして、引き返します。引くも勇気ですから。
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登山道の入り口まで戻ってきました。
ここで、身の振り方を相談します。
時刻はすでに13時半。
もし、登山道を進めば、距離4.6kmで神坂峠に
至ります(案内板があるので)。
しかし、ロードバイクを押していけるような
道なのか皆目わかりませんし、本格的な「山サイ」を
やるような自転車でも装備でもありません。
岐阜方面をめざすなら、考えられる選択肢は
三つありました。

1.登山道を進む
2.飯田まで戻って大平街道へ
3.飯田線をつかまえる(輪行)

第一案がうまくいけば、初志貫徹で神坂峠に至ります。
もし順調にあるければ、2時間ほどかも……しかし、
はじめて歩く山道ですから、不確定要素が多いです。

第二案でも中津川に出ることができますが、
過ぎた地点に戻るのは精神的に選びづらいものですし、
大平峠を心身ともに疲れた状態で越えるのは……。

第三案は、阿智村から天竜峡に出れば
飯田線に出ますので、輪行すれば
いちばん楽といえば楽ですが、
その飯田線が微妙な路線……。
乗り鉄としては大好きなのですが、
延々3時間くらい乗って行き着くのが豊橋なので、
そこから岐阜までずっと列車に乗るとなると、
なんのために南信州まで走ってきたのか
意味不明な展開になります。
もっとも、初日ですでに輪行してる訳ですが……。

Mさんと話し合うも、しばらく決めかねました。
しかし、やっぱり、神坂峠を越えることを選びました。
まだ時間と水と補給食に余裕があることから、
登山道を行けるところまで行ってみよう、
という結論に至りました。
二人で出した結論ですが、
弱音や文句のひとつも言わず、決断と実行ができる
Mさんには頭が下がる思いでした。

次回予告
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ついに登山道を歩み始めた二人。
しばらくすると、
あれだけ強かった日差しがかげり、
雷鳴が山中にこだまする……。
ふたりのオジさんは無事に神坂峠に
至ることができたのか?

続く

*ロードと一緒に登山道に入るような行為を
 安易に真似しないでください。くれぐれも……。
by cyclotourist | 2015-08-12 18:17 | おしらせ | Comments(7)
Commented by トシ at 2015-08-12 22:59 x
続きが気になって寝られません!
Commented by こじま at 2015-08-13 15:41 x
ヘブンスそのはらへの道は、チェーンが張ってあるだけで、スキー場の車が物資を運ぶ道で、自転車の通行になんら支障はありません。もちろん舗装路です。
Commented by cyclotourist at 2015-08-13 23:02
トシ様
コメントありがとうございます。
続き、近いうちに書きます。
ぐっすり寝てください(笑)。

こじま様
コメントありがとうございます。
さすが地元(?)、お詳しいですね。
おっしゃるとおりなのだと思いますが、
現地に車両通行止めとあり、
役場にも教えられてない道を
進む選択はできませんでした。
行ったとしても、ブログでは
書けないでしょうしね(汗)。
Commented by まりきち at 2015-08-13 23:21 x
はぁ~
あまりに大変そうで……読んでいて実に面白いです(すみません)
そして、その過酷さの現れなのかひびユーからのネタがナイスだった「次の旅がはじまるのです!」が無い……
Commented by cyclotourist at 2015-08-14 13:11
まりきち様
コメントありがとうございます。
シメのせりふ、忘れちゃいましたね(笑)。
ぼちぼち舞台も出てきますよ〜。
Commented by 自転車旅行の初心者 at 2015-08-16 12:51 x
地図で途切れている林道に迷わず進む勇気。しかも相方は靴底がツルツルのロードシューズ。
さすがベテランサイクリスト。とても勇敢な行為です。
Commented by cyclotourist at 2015-08-16 21:03
自転車旅行の初心者様
嫌み、ありがとうございます(笑)。
自分はベテランではないですし、
失敗や間違いばかりですよ。
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