こんにちは、田村です。
「大阪〜東京ラン」の続きでございます。
大阪から走り続けて11時間、
ついに静岡県に突入。
ほぼ23時ちょうどです。
予定では、23時には浜名湖の弁天島を
通過してるはずだったのですが。
今回、静岡県内の走行距離は実に180km。
新幹線に乗っていても「静岡は長いな〜」と
いつも思います。その十分の一にも満たない速度の
自転車にとっては、無限に続くローラー台にも
感じられるのが静岡県です。
大阪〜東京、もしくは東京〜大阪を走る者にとって、
静岡県の存在が完走を左右すると言っても
過言ではないと思います。
まずは潮見坂を越えて浜名湖へ向かいますが、
西から来ますとほとんど登り坂を感じることが
ありませんでした。
弁天島通過は23:24でした。
先述のとおり、予定は23時。
この頃になると、だいぶクルマが少なくなってきました。
しかし、しばらく前から追い風が弱まり、
一方で気温はどんどん下がりはじめます。
走っていればさほど寒くはありませんが、
なんだか休みを入れたくなってしかたありません。
頃合いよく(?)テールライトの光が
弱々しくなってきたので、電池交換を理由に浜松郊外の
コンビニでストップ。またカップヌードル、しかも
BIGを買っちゃいました。
予定の時間より遅れているのに悠々と……。
走るにあたって、主要な街や峠の通過時間を
決めていたのですが、それは23時間40分での
完走を前提としたもの。箱根の登りに80分を見込みましたが、
それ以外はほとんど単純に距離を時間で割って立てた
おおざっぱな計画です。
つまり、その予定から遅れると24時間完走は
見込めなくなるわけです。
それなのに予定から遅れつつあり、
それでいて何ゆえカップヌードルなんか食べるんだと
自分を叱りたくなりますが、それなりの目算があったのです。
・静岡はほぼ平坦のはず
・追い風が吹けば増速するはず
・明け方までクルマが少ないはず
この3点でした。
要は状況を都合よく解釈し、自分の意志や力で何とかしようと
してないんですよね(汗)。
走りながらもフト思ったのですが、
けっこう歴史好きな自分としては、かつての日本軍を
思い起こさずにいられません。
・ドイツが勝つはず
・アメリカで厭戦世論が高まるはず
・ソ連が中立をたもつはず
・神風が吹くはず(?)
分っているのに、自らの力ではなんともできないところが
我が身との共通点です。
小夜の中山トンネル着は2時16分でした。
予定では1時30分。
予想に反して、というか順当に
遅れが拡大しております。
期待に反して、風はほとんど止みました。
そして、わずかなアップダウンが
骨身に染みてくるようになりました。
小夜の中山トンネルは標高200mに満たないのですが、
すでに300km走ってきた自分には
なかなか足にくる登りでした。しかも、
登坂中でも寒さを感じるようになりました。
気温は5℃くらい。体感的にはもっと冷え込んだ印象です。
ペースを上げればよいのでしょうが、
そんな気力もなく、とぼとぼと走り続け、
ようやくトンネルを抜けてから
レインジャケットを着込んで下りに備えました。
トンネルを抜けてしばらく下ると、
金谷や島田方面の夜景が広がります。
寒いけれど、澄んだ空気のおかげで
街の灯りがとても鮮やかでした。
静岡県内のルートは退屈だとも言われますが、
次々と現れる街にホッとしたり、
バイパスの迂回路を見落とさないよう気をつけたりで、
意外と変化が感じられ、さほど飽きませんでした。
これで追い風なら……と空しい願いを抱きつつ、
ノロノロと進んで行きます。
3時に着いた島田でグラタンを食べ、
4時45分に着いた静岡では
眠気に備えて強強打破とブラック×ブラックを
買いました。
静岡着の予定は3時10分。
もはやどうやっても24時間ペースへの
復帰は絶望的になってきました。むしろ、
進めば進むほど、遅れがひどくなってきました。
やはり神風は吹きませんでした。
こんな有様でも、だいたいは時速30km前後で走ってるんです。
自分としてはハイペースのつもりです。
しかし、当然、信号では停まりますし、
ちょっと勾配があれば時速は下がります。
なにより、コンビニで休むと、まるで
ザルから水が落ちるように平均速度が
下がっていきます。
全行程距離520kmを24時間で割ると、
求められる平均時速は21.7kmです。
これをクリアするのが如何に難しいか、
ようやく実感として分ってきた時は、
もう回復しようがない有様です。
巡航速度が30km程度では、
求められる平均時速になかなか達しないのです。
24時間達成が無理だと分ってしまうと、
張り合いが薄れ、ペースはもう下がる一方です。
興津のコンビニでは、どん兵衛を食べちゃいました。
温かい食べ物の誘惑に勝てません。
これが寒い時期における長距離ランの
一番の敵かもしれませんね。
6時前後に興津を過ぎる頃には、
夜が明けてしまいました。
予定では三島あたりで夜明けを迎えるはずだったのに。
写真を見ると、テールランプが
アフターバーナーみたいですね。
興津〜由比の間はバイパス地獄として有名です。
しかし今回、尊敬すべきキャノンボーラーの某氏に
ご指示を仰ぎ、迂回路を把握しておりました。
もちろん、薩た峠を越える意地はありません。
興津から自転車道に入るのです。
決して走りやすくはありませんが、安全です。
真正面に富士山が見えました。
東京はまだ遥か先です。
いま思えば噴飯ものですが、愛知県あたりまでは
「24時間で走れちゃったらどうしよう。
あんまり自慢ぽく思われるとよろしくないから、
ギリギリで日本橋に着いて、へたりこんでる
写真でも自分撮りするかな(照)」
とか考えていたのですが、
そんな心配は杞憂に終わりました。
もはや、東京に帰れるか否かが問題なのです。
そして、ここまで遅れてくると、
当初の目論見とはあらゆる現象が変ってきました。
渋滞のはじまりです。
沼津に至る頃には7時を過ぎてしまい、
道は通勤のクルマと、通学の自転車で
ぎっしり。ますますペースが落ちます。
もっとも、この頃になると、渋滞も信号ストップも
救いに変りつつあります。
足を止める理由がほしいのです。
眠気も堪えがたくなりつつあり、
ガムをかみかみして誤摩化します。
長く停まりそうな信号では
タバコを吸い出すありさまです。
どうにかこうにか、三島に着いたのは8時30分。
もう比べるのも馬鹿らしいですが、
予定では5時50分着だったんですよね……。
そして、ローソン「ニュー箱根店」で
息を整えつつ、ドリンクを補給。
いよいよ、全行程の文字どおり最大の山場である
箱根越えがはじまります。
次回予告
大破炎上状態で迎えた天下の険。
標高846mの箱根峠が、
まるで壁のようにそそりたつ。
果たして越えることができるのか?
次回、大阪〜東京ラン完結編。
お楽しみに〜。