こんにちは、田村です。
おかげさまで『ランドヌールVol.4』は
印刷工程に入っております。
10月1日には、ご注文いただいた書店様、自転車店様へ
発送を開始できる予定です。
もし書店様や自転車店様で本ブログを
ご覧になっている方がいらっしゃいましたら、
どうぞご注文ください!
さて、そんなわけで9月は仕事とブルベに
全力投球だったのですが、外せないイベントもあります。
「TOEIオーナーズミーティング」です。
16回めを迎えた今年は、9月22日に
東叡社とゆかり深い上野の精養軒で開催されました。
ごちそうです。
東京に生まれ育って不惑を迎えた僕ですが、
はじめて精養軒に入りました。
たくさんのトーエイが勢揃い。
今回は、東叡社が浦和から現在の川口に移転して
10周年ということで、川口で製作された
近年のトーエイ車が集められました。
不肖、私のスポルティーフも展示させていただき、
光栄の極みでした。
昨年まで、各地の旅館にて一泊二日の
集中ランスタイルのミーティングでしたが、
こうしたパーティー形式もよいものですね。
もっとも、僕は自転車で参加したので、
一滴のビールも飲めなかったのがツライです(汗)。
主催のKさんがご挨拶。
「私たちには東叡社しかないのですから、がんばってください」
ユーモアと愛のあふれるスピーチで
ミーティングの幕を開けてくれました。
開催のご苦労はいかがばかりかと思いますが、
毎年、温かいホスピタリティで参加者を
癒してくれます。
続いて、東叡社の
山田社長が登壇。
「自転車乗る人も増えてきたなあと思いまし、一般の方にもスポーツ車が広まってきたなあと思いますけれども、ここに来てるみなさんは、流行とは別に、自分の趣味と道楽に時間とお金をつぎ込んでいる方だなあと……今後ともよろしくお願いします」
飾らない真摯なお人柄が感じられる
ご挨拶でした。
続いては、ご来賓のスピーチがありました。
やはり耳目を集めたのは、沼勉氏のお話でした。
60〜70年代の『ニューサイクリング』誌や、
近年のエイ出版社のムックなどで、ご高名と
日本のサイクリングシーンへの
長きに渡る貢献をうかがっておりましたが、
ご本人を拝むのは初めてでした。
ご自身の、「オーダー車フリーク」時代を振り返りつつ、
創業間もない頃の東叡社の様子など
貴重なお話を聞くことができました。
48年前のトーエイ社発行のカタログに、
若かりし頃のご自身が載っている、というのには驚きました。
1967年に渡仏してルネルス(エルス)を
オーダーした経験や、その影響についても
ご本人自ら語ってくれました。
そして、お話が進むに連れ、なかなかに
刺激的な内容になっていきます。
「やがて自転車は生活の糧になって、純粋なスポーツ車を追求する心は、“悪魔”に売り渡してしまったわけです」
“悪魔”って、あのメーカーを指すのでしょうか。
それとも、利益至上の資本主義といった
抽象的な概念を指しているのでしょうか……。
「東叡社はロウ付けの鉄フレームでは、日本はもちろん世界中のどこを探しても、これだけの技術をもったところはありません。困難で特殊な注文を完全に仕上げ、器用に仕事をしています。しかしながら、その器用さが東叡社の欠点かもしれません。なぜなら、東叡社独自の個性が育ってないからです。ルネルスと比較した場合、すべての技術が東叡社が上です。両方で品物をオーダーし、吟味した私がいうのですから間違いありません。しかし、ルネルスには独自の個性があります。東叡社にはそれがないと感じているのは私だけでしょうか。ここにお集りの方も感じているのではないでしょうか。創業者がなしえなかった、東叡社ならではの個性の確立に期待しております。次の東叡社につなげてください」
非常に勉強になり、示唆に富むスピーチでした。
フレーム工房の「個性」とは
なんだろう……と、考えさせられます。
奇抜なフレーム形状やオリジナルの部品を
作ることでしょうか?
オーダー主の注文、夢を忠実に再現する、
再現できるというのが東叡社の「個性」だと
思うのですが、どうなんでしょうね。
僕がはじめてトーエイをオーダーしてから
早いもので5年が経ちました。
東叡社の長い歴史に比べれば昨日のことのような
できごとですが、あの日から、僕は
オーダー車ばかりに乗るようになってしまいました。
東叡社の個性とは?
次にオーダーする機会があれば、
山田社長にお任せで、近代的なロードを
作ってほしいなあと思いました。
主催者のみなさまと、
お会いできた参加者のみなさまに
あらためて感謝いたします。
またご一緒させてくださいね。